tekuteku-tekutekuの日記

聖書研究と陰謀論

死海文書『戦いの書』 3.

死海文書「クムラン宗団・エッセネ派」とキリスト教

 

 「戦いの書」

 

 

 【Ⅲ】

 

 

 ー戦いの編成ー

 

 歩兵出撃のために戦いの門が開かれる時の呼集のラッパ、

撃たれる音どもの喚声のラッパ、

伏兵のラッパ、

敵が打破られた時の追撃のラッパ、

戦いから引き返す時の集結のラッパ。

 

 集団呼集めのラッパには「神に呼び集められた者達」と書き、隊長呼集のラッパには「神の君侯」と書き、部隊のラッパには「神の規律」とを書き、名ある人々、即ち集会の家に集まる時の集団の家長達のラッパには「聖なる会議に対する神の証」と書き、陣営のラッパには「神の聖徒達の陣営には神の平安あれ」と書き、陣営出発のラッパには「敵を追散らし、すべて義を憎む者を敗走させる神の力と、神を憎む者共に対する憐れみの拒絶」と書き、戦いの編成のラッパには「すべての闇の子等に対する怒りの報復のための神の部隊の編成」と書き、敵陣に向かって出撃するため戦いの門が開かれる時、歩兵を呼集するラッパには「神の時における報復の記念」と書き、撃たれる者共のラッパには「反逆の故に撃たれる者すべてを倒すための戦いに、神の力強い手が臨むように」と書き、伏兵のラッパには「悪を亡ぼすための神の秘策」と書き、追撃のラッパには「神は闇の子等をことごとく撃ち給うた。彼等が滅びるまでは、神の怒りが収まらないように」と書き、陣列に入るため彼等が戦いから引き返す時の帰還のラッパには「神が集め給うた」と書き、エルサレムの集団に入るため、敵との闘いから引き返す途のラッパには「平安の帰還における神の歓呼」と書く。

 

 

 

 ー全集団の、各部隊ごとの旗の規則ー

 

 すべての民の先頭におく大きな旗には「神の民」という言葉及びイスラエルとアロンとの名と系図によるイスラエルの12支族の名とを書き、3つの支族に属する陣営の頭達の旗には「神の秘策によって」と当陣営の長の名とその支族の名とを書き、

支族の旗には「神の旗印」と当支族の長の名とその氏族の名とを書き、

氏族の旗には「神の◯◯」と万人隊長の名とその部下の千人隊長達の名とを書き、

千人隊の旗には「神の○○」と千人隊長の名とその百人隊長達の名とを書き、

また百人隊の旗には「神の○○」と百人隊長の名と、その五十人隊長達の名とを書き、五十人隊の旗には「神の○○」と五十人隊長の名とその十人隊長達の名とを書き、

十人隊の旗には「神の○○」と十人隊長の名とその部下の9兵卒の名と書く。

 

 

 

 【Ⅳ】

 

 

 メラリの旗には「神の供え物」と、メラリの長達の名とその千人隊長達の名とを書き千人隊の旗には「ベリアルとこれに割当てられたすべての者とに対する、余す所なき憤りを抱く神の怒り」と千人隊長の名とその百人隊長達との名とを書き、百人隊の旗には「すべての不義の肉に対する戦いの力は神より」と、百人隊長の名とその五十人隊長達の名とを書き、五十人隊の旗には「神の力によって悪しき者の立場は失せた」と、五十人隊長の名とその十人隊長達の名とを書き、十人隊の旗には「十絃の琴による神の歓呼」と、十人隊長の名とその部下の9兵卒の名とを書く。

 

 彼等が出陣する時は、彼等の旗にそれぞれ「神の真実」「神の義」「神の栄光」「神の審判」と書き、その後に、彼等の名の詳細の全序列を書く。

彼等が戦いに臨む時は、彼等の旗にそれぞれ「神の右」「神の時」「神による狼狽」「神に撃たれる者」と書き、その後に彼等の名の詳細のすべてを書く。

彼等が戦いから引き返す時には、彼等の旗にそれぞれ「神の讃美」「神の偉大」「神の讃歌」「神の栄光」という言葉を彼等の名の詳細すべてと共に書く。

 

 

 

 ー集団の旗の規則ー

 

 彼等が戦いに出る時は、最初の旗には「神の集団」、第二の旗には「神の陣営」、第三のには「神の諸支族」、第四のには「神の諸氏族」、第五のには「神の諸部隊」、第六のには「神の集会」、第七のには「神に呼び集められた者達」、第八のには「神の軍隊」と書く。そして彼等の名の詳細をその全序列と共に書く。

 

 彼等が戦いに臨む時には、彼等の旗にそれぞれ「神の戦い」「神の復讐」「神の争い」「神の報い」「神の力」「神の報復」「神の大能」「神によるすべての空しき民の滅び」と書く。また、彼等の名の詳細のすべてを、それに書き加える。

 

 彼等が戦いから引き返す時には彼等の旗にそれぞれ「神の救済」「神の光輝」「神の援助」「神の支持」「神の歓喜」「神への感謝」「神の讃歌」「神の平安」と書く。

 

 

 

 ー旗の寸法ー

 

 全集団の旗の長さは14キュビト。

3つの支族の旗の長さは13キュビト。

支族の旗は12キュビト。

万人隊の旗は11キュビト。

千人隊の旗は10キュビト。

百人隊の旗は9キュビト。

五十人隊の旗は8キュビト。

十人隊の旗は7キュビト。

 

 

 

 

 ◆補足文

解説書より、「他の文書との関係」で、この「戦いの書」の断片がいくつかの洞穴から発見されているので、クムラン宗団の中で重んぜられていた文書の一つであったことが理解されています。内容的にもこの書は他の死海文書と共通する点を多く持っています。主な点を幾つか挙げると、「定規要覧」にもⅠとⅢで敬虔な者が「光の子」と呼ばれており、彼らの背後に「光の子」が立っています。そして「ベリアルに割り当てられた者」に対する呪いがあり、両者とも祈りの時を定め、祭司の優位を強調しています。また、とりわけ『会衆規定』とは、集団の分け方、職務別の年齢規定が著しく類似しています。以下、『会衆規定』の抜粋文書。

 

 『会衆規定(IQSa)

 

 これは会衆の全軍のため、イスラエルの全市民のための規律である。

その若い時より「ハギの書」をもって彼を教え、その年齢に応じ、契約の定めをもって彼を教育しなければならない。……

 

 25歳になると、彼は会衆の礼拝に奉仕するため、聖なる会衆のもといに出席するようになる。30歳になると、争いと審きを審議するようになり、また、イスラエルの千人の長、百人の長、五十人の長、十人の長、審き人、彼等のそれぞれの家族に従い彼等の部族のための司達の中に位置を持つようになる。これ等の職務は種々の職務に就くことと、会衆の前に出入りすることを決定する、祭司アロンの子等と会衆の氏族のすべての長達に従って執り行われる。……

 

 五十人の長、十人の長、レビ人、その職務を分担しているすべての人々。これらは、名ある人々で、祭司ザドクの子等の前に、イスラエルにおける共同体の会議のために、召集に呼ばれる人々である。

 

(※これらを参考に読むと「戦いの書」での人数の割当の意味合いが少し理解できるのかな?と思います。)

 

 また解説では、『感謝の詩編』や、『ハバクク書註解』と共にこの書でも「敬虔なる者は貧しき者」と呼ばれているといいます。