tekuteku-tekutekuの日記

聖書研究と陰謀論

死海文書『戦いの書』 2.

死海文書「クムラン宗団・エッセネ派」とキリスト教 

 

 

 

  ※『死海文書』テキストの翻訳と解説・日本聖書学研究所著より

 

 

 「戦いの書」

 

 

 【Ⅰ】

 

 

 賢人のために。戦いの規律。光の子等の最初の攻撃は、闇の子として割当てられた者共に対し、すなわちベリアルの軍勢に対し、エドムとモアブとアンモン人とアマレク人との軍団およびペリシテの民に対し、またアッシリアのキッティームの軍団とこれを援ける契約を破る者共に対して、始められるべきこと。

荒野の囚われたる人たるレビ人・ユダヤ人ベニヤミン人が彼等と戦う。

 

  …これらの全軍団に対し、光の子等の囚われ人が、諸々の民の荒野から帰ってエルサレムの荒野に宿る時。この戦いの後で、彼等はそこから上り、エジプトにあるキッティームの全軍団に立ち向かう。彼の時に彼は大いなる憤りを以って、北の王達と戦うために出て行き、彼の怒りはベリアルの角を滅し断つ。

 

 これこそ神の民の救いの時、彼に割当てられたすべての者が支配し、ベリアルに割当てられたすべての者が永久に滅びる時である。

 

 ャぺテ人は、大いに慌てふためき、アッシリアは倒れ、これを助ける者はなく、キッティームの支配は止んで、悪は残りなく打ちひしがれ、闇の子等は一人も逃れることはできない。

そして義の子等は世の隅々まで輝きわたり、闇の時期が全く尽きるまで、輝き続ける。そして神の時期には、すべての光の子等の平安と祝福、栄光と喜悦と繁栄とのために、その高き栄誉が代々万世にわたって輝くのである。

 

 キッティ―ムが倒れる日には、戦闘と激しい殺戮とがイスラエルの神の前に起こる。これこそ、闇の子等の滅びの戦いとして、早くより神に定められた日だからである。

 

 この日、神々の集団と人々の集まりとが、大殺戮のため向かい合う。すなわち光の子等と闇の子等に割当てられた者とが、この破壊の日に、神の力の示威のため、大きな群の声と、神々と人々の喚声との中に戦い合う。

これは神の贖いの民のすべてに臨む苦難の時。前代未聞の苦難であるが、速やかに終わって永遠の贖いに至る。

 

 

 彼等がキッティ―ムと戦う日、戦いにおける殺戮のために彼等は出るのである。

光の子等は3度勇をふるって悪を打ち、ベリアルの軍勢は3度腰に帯して、光に割当てられた者を後退させる。

歩兵の部隊は敵を意気◯喪させようとする。そして神の力が光の子等の心を強め、

7度目には神の大きな手が、ベリアルとその支配下のすべての天使達(つまり堕天使達)と彼に割当られたすべての者とを、打ち平らげる。

 

 

 聖徒達の集団と共にある神の栄光は、永久の救いの中に現れ、…真実…闇の子等を滅するために。大きな群の声と神々の喚声…の中に手を武器につける…

 

 

 

 

 【Ⅱ】

 

 

 集団の52人の家長達。そして祭司の頭達を、祭司長と次席祭司の次に定める。

これは、常供の燔祭をもって、神の前に仕えるべき12人の頭達である。

また、勤めの組の頭26人が、その勤めの組において仕える。

その次には、常に仕えるべきレビ人の頭達12人、各支族あて一人ずつ。

そして彼等の勤めの組の頭達は、各々その持ち場において仕える。

その次には、常に聖所の門に立つべき、支族の頭達と集団の家長達。

そして彼等の勤めの組の頭達はその部下と共に、50歳以上の者が、彼等の祭りの時と新月安息日と年のすべての日に、連なる。

これ等の者が燔祭と犠牲とに連なるのは、神の御心に叶う宥(なだ)めの薫香を準備して神の集団のすべての者を贖い、常に彼の御前において、栄光の食卓について満ち足りるためである。

 

 これらすべての者を、彼等は赦しの年の定めの時に定める。

そして残る33年の戦いの間に、会衆の中から呼び出された「名ある人々」と、すべての頭達が、全世界の民に対する戦士達を選び出す。

イスラエルの全支族から勇士達を選び装備させて、年々の戦いの任務に従って出陣させる。しかし赦しの年には、装備させて出陣させない。

この年はイスラエルの憩いの安息であるから。

 

 35年の勤務の中、6年で戦いが準備される。全集団が一致してこれを準備する。

残る29年間に各分団の戦いが行われる。

最初の年にはアラム・ナハライムと戦い、第2年にはルデ人と、第3年には残りのアラム人、ウズおよびホル・トガルおよびエウフラテスの向こう岸のマサと戦い、第4、第5年にはアルパクシャド人と戦い、第6、第7年にはアッシリア人ペルシャ人および大砂漠に至るまでの東国人と戦い、第8年にはエラム人と戦い、第9年にはイスマエル人・ケトゥラ人と戦い、その後の10年は諸族に分かれて、その居住地に住むすべてのハム人に対して、戦いが振当られ、残りの10年はその居住地にすむすべてのャぺテ人に対して、戦いが割当られる。

…彼等のすべての任務のために喚声のラッパを……。

 

 

 

 

 

◆補足文

戦いの書概説【Ⅰ】によれば、この書の名称は、その最初の語である「戦い」という言葉から取られています。始め、この書はスーケニークによって「光の子等の闇の子等に対する戦い」と名づけられましたが、現在では簡単に「戦いの規律」とか「戦いの巻物」などと呼ばれていることが多いようです。また、この巻物は数ある文書の中でも特に美しい文字で注意深く書かれていますが、残念なことに失われた末尾の3分の1が腐食して失われてしまい、そのため多くの問題が未解決であるといいます。

 

 【Ⅱ】は、Ⅰの1~7には光の子と闇の子に属する集団の名が列挙されています。

次いでⅠの8~16では両者の終末的な戦いの経路が叙述されています。

光の子等は3度勝ち、また闇の子等は3度光の子等を押し返します。

しかし、7度目に神の力の援助の下に、光の子等は闇の子等に対して最終的な勝利を得ることなっています。

それから40年間にわたる戦いについては、詳細な軍事的規定と、独特な空想的、終末的な観念が結合されて展開されてゆくのです。