tekuteku-tekutekuの日記

聖書研究と陰謀論

聖書外典偽典(旧約偽典)『エノク書』7

旧約偽典『エノク書

 

 

  

 第37章

 

 

 アダムの子セツ、その子エノス、その子カイナン、その子マハラレル、その子ヤレド、その子エノクが見た第二の幻、知恵の幻

 

 乾いた大地の上に住まう者達に私が声を張り上げて語りかけようとした知恵の言葉のはじめはこうである。

「先の世代の人達よ、聞け。後の世代の人達よ、見よ。諸々の霊魂の主の御前で私が語る聖なる言葉を。」

 

 先の人達に語るのが相応しいが、後の者達に対しても私は知恵のはじめを拒みはすまい。私に思索し、また、永遠の生命に預かることを許して下さっている霊魂の主がよしとされたところに従って受けた知恵は、これ以前には霊魂の主の手から授けられたことはなかった。

 

 3つの譬えが私にのぞみ、私は声をあげて、乾いた大地上の上に住まう者達に述べた。

 

 

 

 

 第38章

 

 

 第一の譬え。

 義人の教団が出現し、罪人等がその罪ゆえに裁かれ、地の面から追い立てられる時、義なるお方が、選ばれた義人達、即ちその行いが霊魂の主のみ旨にぴったりと合致している者達の前に姿を現され、乾いた大地の上に住まう義人、選民達に光が現れる時

罪人達の住居はどこになるのだろう、また霊魂の主を否定した者達の安住の地はどこになるのだろう。彼等にとっては、むしろ生まれ出てこなかった方がましだったのだ。

 

 義人達の秘密があらわにされる時、罪人達は裁かれ、不敬虔な者達は義人と選民達の前から追い払われるであろう。

 

 今より後は、地をその掌中に収める者達は、もはや力ある者、位の高い者とはなり得ず、聖者達の顔を見ることは出来ないであろう。

霊魂の主の光が聖人、義人、選民達の前に現われたからである。

 

 その時力ある王達は滅び、義人と聖人達の手に渡されるであろう。

この時を境として、霊魂の主から憐れみを乞う者はないであろう。彼等の生命は尽きたのだ。

 

 

  

 第39章

 

 

 さて、その時には、選ばれた聖なる子等が上なる天から降りて来て、彼等の種は人の子等と一つになるであろう。

 

 その時エノクは『ねたみと怒りの書』、『混乱と騒乱の書』を受け取った。

霊魂の主は、彼等は憐れみをこうむることはない、と言われた。

その時、雲と突風が私を地上からさらって行き、天の果てに私を坐らせた。そこに私は別な幻、義人達の住所と聖人達の安住の地を見た。

 

 そこに私の目は見た。彼等の住居はみ使い達と共にあり、彼等の安住の地は聖者達と共にあり、彼等は人の子等の為にとりなし、乞い願い、祈っている。彼等の前には義は水のように流れ、憐れみ地の面におく露のごとく、彼等の世界ではこのような有様が永久に続くのである。

 

 その時私の目は、義と信仰の選民達の居る場所を見た。彼等の時代には正義が行われるであろう。彼の前にある義人、選民は、永遠に数えることもできない。

 

 私は霊魂の主の翼の下に彼等の住所を見た。彼の御前にある義人、選民達はことごとく火の光のように輝き、その口は賛美に満ち、その唇は霊魂の主のみ名を褒めまつり、義は御前に尽きることがない。

 

 そこに私は住みたくなった。私の魂はその住所に憧れた。私の居所は前からそこにあったのだ。霊魂の主の御前にしかとそのように私のことが定められていること故。

 

 その時私は賛美し、霊魂の主の名を賞賛と賛美をもって褒めあげた。霊魂の主も、そのみ旨に従って賞賛と賛美を私に約束して下さったからである。

 長いこと私の目はその所を見つめていたが、やがて私は彼を誉め称えて言った。

「彼こそ褒むべきかな。古よりとこしなえに褒められてしかるべきである。」

 

 彼の御前には終わりということがなく、世界が創造される前から、世界とはいかなるものかを知っておられる。代々にどう変わっていくかも。

 

 眠ることをせぬ者達があなたを褒めまつり、あなたの栄光の前に立って、あなたを称え、褒めあげて言う。

「霊魂の主にして、聖にして、聖なるお方。霊を地に満ちさせたもう。」

 

 そこに私の目は、眠りもせずに彼の前に立ち尽くし、

「あなたは褒むべきお方。主の名は永久に褒むべきかな。」

と言って褒めまつっている者達を見た。

ついに私の顔色は変わり、それ以上見つめていられなかった。

 

 

 

 第40章

 

 

 その後、私は何千、何万、何十万も見た。

霊魂の主の栄光の前に立っている者は無数で数えることもできない。

 

 私は見た。霊魂の主の四方に寝ずに立っている者とは別の4人の御前の天使を認めた。その名は、私について来たみ使いが教えてくれ、また全ての秘密を明かしてくれたので分かった。私はこれら4人の御前の天使が栄光の主の前で賛美する声を聞いた。

 

 最初の声が霊魂の主を永遠に褒めたたえる。

第2の声が、選ばれた者と霊魂の主にしっかりついて離れない選民とを褒めたたえるのを私は聞いた。

 

 第3の声が乾いた大地の上に住む者のために祈り願い、霊魂の主の名によって嘆願しているのを私は聞いた。

 

 第4の声がサタンどもを追い出し、乾いた大地に住む者達を中傷するために、霊魂の主の御前に入ろうとするのを止めようとしているのを私は聞いた。

 

 私はその後、私に同行して、全ての秘密を私に見せてくれた平和のみ使いに尋ねた。

「私が見、その声を聞いて書き留めたあの4人の御前の天使は誰ですか。」

 

 彼は私に言った。

「最初の者は憐れみ深く、めったに怒らない聖ミカエル、

第2は人の子等の一切の病と傷を司るラファエル、

第3は全ての力を司る聖ガブリエル、

第4は永遠の生命を嗣ぐ者達の悔い改めと望みを司るぺヌエルである。」

 

以上はいと高き神の四天使であり、その時私は4つの声を聞いた。

 

 

  

 第41章

 

 

 その後、私は天の全ての秘密を見た。

王国が分割され、人間の行いが秤にかけられる様を。

そこに私は選民の住所(すみか)と義人達の住所を見た。

 

 また、私の目は、霊魂の主を否定する罪人達がそこから追い立てられ、引きずられていくのをそこに見た。霊魂の主が下される刑罰故に、彼等には居場所がないのである。

 

 そこに私の目は稲妻と雷鳴の秘密、これがどのようにして分かれて地上を吹くか、また雲と露の秘密を見た。私はそこに、そこから露が出て地の塵を潤す場所を見た。

 

 そこに私は閉ざされた倉を見た。そこから風が分かれて出ていく。

 また雹の倉と霧の倉、雲の倉と、その雲が太古から大地の上にたなびいているのを見た。

 

 私はまた太陽と月の倉、それがどこから出て来てどこへ戻ってゆくか、その素晴らしい帰路、またどのように一が他に勝るかを、その一定した軌道を、その軌道を外れず、その運行距離に加えも引きもせず、互いに信を守り、誓約を果たす有様を見た。

 

 まず太陽が出て来て霊魂の主の定めに従ってその道程を行く。

彼の名はとこしなえに大いなるかな。

 

 次は見え隠れする月の道で、その軌道に沿った運行を、その場所で昼夜かかって終える有様を見た。また霊魂の主の前で互いに見つめ合い、休みなく、彼を褒めたたえる。賛美が即ち彼等の休息なのである。

 

 光を放つ太陽は変幻自在で、祝福ともなれば呪いともなり、月の軌道に沿った運行は、光と闇の間に隔てをつくり、人間の霊を分けて、その義なる名によって義人の霊を強められた主の名ゆえに、義人にとっては光であるのに、罪人にとっては闇である。 み使いもこれを差し止めはしないし、どのような権威もこれを差し止めることは出来ない。審判者は全てのものを見、これら全てのものを御前で裁かれるからである。

 

 

 

  第42章

 

 

 知恵はその住むべき場所を見出せなかったが、後に天にその住居ができた。

知恵は、人の子等の間に住もうとやって来たが、住居が見い出せず、自分の場所に戻って、み使い達の間に居を定めた。

暴虐がその倉から出てきてはびこっていた。

 

 それ、知恵は、自分が求めなかったものを見出した。

それ、暴虐は彼等人間の間に砂漠の雨のように、乾いた土地におく露のように住み付いた。

  

 

 

 第43章・第44章(略)

 

 

 

 第45章

 

 

 これは、聖人達の住居と霊魂の主の名を否定する者達に関する第二の譬えである。

彼等は天に昇ることもなく、地に降りて来ることもない。

霊魂の主の名を否み、苦痛の患難の日まで生き殺しにしておかれる罪人達の運命はそんなものである。

 

 

 その日、選ばれた者が栄光の座に座り、彼等の行いを選び分ける。彼等の休息の場所は無数である。彼等の霊は、わたしの選んだ者と、わたしの聖なる栄光の名に助けを求めた者達を見るとき、頑なになるであろう。

 

 その日わたしはわたしの選んだ者を彼等の間に坐らせ、天を変えて永遠の祝福と、光とするであろう。

 

 わたしはまた乾いた大地を変えて祝福とし、そこにわたしの選民を住まわせる。

しかし、罪と過誤を犯す者にはその上を歩むことを許さない。

 

 わたし自身が彼等に目をかけ、義人達に平安を飽くほど味わわせ、わたしの前に住まわせたのである。

しかし、罪人達に対するわたしの裁きは近づいた。わたしは地の面から彼等を滅ぼす。

 

 

 

 

 

 

◆補足文

エノク書概説より、第37章~第71章は、メシアに関する教説となっており、第37章はその序章です。そして、第38章~第44章までは、義人達の居所とみ使い達の働きについて述べられています。また、エノクによる自然観察の内容も報告されています。続いて第45章~57章で、エノクは選ばれた者、即ちメシア、その性格、審判者としてのその役割についての啓示を受ける。となっています。