tekuteku-tekutekuの日記

聖書研究と陰謀論

聖書外典偽典(旧約偽典)『エノク書』12

旧約偽典『エノク書』 

 

 

 

 第69章

 

 

 この裁きの後、これを彼等に見せられた乾いた大地の住民達は恐怖と戦慄に陥るであろう。さて、以下に例のみ使い達の名前。彼等の名は次の通りである。

 

 筆頭はシェミハザ、第2はアレスティキファ、第3はアルメン、第4はコカビエル、第5はトゥルエル、第6はルムヤル、第7はダネル、第8はヌカエル、第9はバラクエル、第10はアザゼル、第11はアルメルス、第12はバタルヤル、第13はバササエル、第14はアナ二エル、第15はトゥルヤル、第16はシマピシエル、第17はィェタルエル、第18はトゥマエル、第19はタルエル、第20はルマエル、第21はイゼゼエル。

 

 以下は彼等のみ使い達の首であり、100人を治める者、50人を治める者、10人を治める者達の名前である。

 

 1番目の者はイェクンと言い、全ての聖なるみ使い達の子等を迷わせ、乾いた大地に連れ降し、人の娘等によって迷わせた者である。

 

 2番目をアスベエルと言い、聖なるみ使い達の子等に悪知恵を授け、人の娘達の間で身を滅ぼすように迷わせた者である。

 

 3番目は名をガデルエルと言い、ありとあらゆる致命的な打撃を人間の子等に見せたのはこの者であり、彼はエバを誘惑し、人の子等に、殺戮用の道具、盾、甲冑、人を殺す剣、ありとあらゆる殺戮用の道具を見せた。彼の手からこれらの道具がその時から永遠に、乾いた大地に住む者に向かって投ぜられた。

 

 4番目は名をペネムと言い、この者は人の子等に苦みと甘みを見せ、又彼等の知恵の秘密をことごとく見せた。この者はまた、墨と紙でものを書くことを人間に教え、それがために永久に道を踏み外す者が多数のぼり、今日に及んでいる。

人間はそのために、つまり、墨と筆でその信仰を堅うするように生まれたのではない人間はみ使い達とまったく同じように、ずっと聖にして清くいられるように、全ての者を蝕むところの死が彼等に触れないように創られたのに、この知識ゆえに彼等は滅びこの力の故に死は私を食い尽くす。

 

 5番目は名をハスデヤと言い、人の子等に霊と悪霊による酷い災い、外に出ようとして蹴りまくる胎児の動き、魂の悩み、噛み付く蛇、真昼の日差し、タバトという名の蛇の子などを見せた者である。

 

 これが、彼がはるか上空に栄光のうちに住んでいた時に聖者達に見せた誓いの頭ケセブエルの数であり、その名はベカ。この者は、その隠された名を彼等に明かし、彼等がその秘密の名を見て、それを誓いの時に唱え、人の子等に全ての秘密を明かしたところの者共が、その名と誓いにおののくようにしてやるがよい、と聖ミカエルに言った。

 

 これがその誓いの力であり、それは力強い。彼はその誓い、アカエを聖ミカエルの手に置いた。これがその誓いの秘密である。

彼等はその誓いによって強められ、天は世界が創られる以前から永久に懸けられた。それによって、地の土台が水の上に据えられ、人目につかない山奥から生ける者のためのきれいな水が世界の創造の時から永久に流れ出る。

 

 この誓いによって海は創られ、海はその土台として、怒りの時に備えて、砂を置かれ、世界の創造の時から永久に、それを超えることはしない。この誓いによって淵はしっかりと立てられ、永遠から永遠に至るまで、その位置からずれることはない。

 

 この誓いによって日時はその運行を完了し、永遠から永遠に至るまで定められた径を外れることはない。

 

 この誓いによって星はその運行を完了し、彼がその名を呼ばれると永遠から永遠に至るまで答える。

 

 水の雲、風とあらゆる気体の霊、その軌道、色々な霊の結びつきも同様である。それによって雷鳴の音、稲妻の光が倉に保存されており、それによって雹と霜、霧と雨と露が倉に保存されている。これらはみな、霊魂の主を信じ、これを寿ぎまつり、力の限り彼を賛美し、彼等の糧は賛美にあり、霊魂の主の名を永久に寿ぎ、賛美し、崇める。

 

 この誓いは彼等を堅く捉え、それによって彼等は護られ、彼等の道は守られ、その径はすたることがない。彼等は歓喜にひたり、※人の子の名が彼等に啓示されたことについて、褒め称え、賛美し、崇めた。

 

 彼はその栄光の座に坐り、※人の子には裁きの権限が授けられ、彼は罪人達と、この世を惑わせた者達とを地の面から滅ぼし、払拭される。彼等は鎖に繋がれて滅びの集会所に幽閉され、彼等の労苦の実はことごとく地表から消え去るであろう。

 

 今より後、滅びる者はないであろう。※人の子が現れ、その栄光の座に坐られた故に。全ての悪は彼の前から消え去り、人の子の言葉は主の前に確立される。

以上がエノクの第3の譬えである。

 

 

 

 第70章

 

 

 この後、彼の名は、乾いた大地に住む者達の中から、あの※人の子、霊魂の主の御許に行きながらにして引き上げられた。

彼は霊の馬車で引き上げられ、その名は彼等地上の住民の間から消えた。

この日から私は彼等の中に教えられることはなく、彼は私を2つの風の間、西と北の間に住まわせた。

そこでみ使い達が、選民と義人達のための場所を私に測ってあてがうために縄を取り上げた。そこに私は、太古よりその所に住まう原初の先祖達と義人達を見た。

 

(上記同じ※人の子=メシア)

 

 

◆補足文

参考動画紹介YouTubeエノク書と堕落時代のお話」2017・7月23日公開の

edenMediaさんの動画と、「What You Need to Know About The Book ENOCH

And The AGE of The……」2019・12月9日公開のWoodwardTVさんの動画があります。

 

 第69章の中の4番目の堕天使ペネムについて、「この者はまた墨と紙でものを書くことを人間に教え、それがために、永久に道を踏み外す者が多数にのぼり、今日に及んでいる。…人間は墨と筆でその信仰を堅うするように生まれたのではない。……この知識故に彼等は滅び、この力故に死は私を食い尽くす。」とありますが、まさしく真理の言葉であると感じました。

 

 あと、堕天使達の名前ですが、ウイキペディアの悪魔一覧表を見てみると、キリスト教には堕天使の筆頭のシェミハザから始まる以下の名前は見当たらず、別の名前が羅列されていますが、当然ながらユダヤ教の悪魔一覧名には全部ではないですが、だいたい載っていました。特にガデルエルが、このエノク69章の中でも悪質な堕天使として書かれていますが、注目すべき点としては(最初の人類の母)エバを誘惑した、とある部分です。旧約聖書の創世記の中ではエバを誘惑したのは「蛇」となっています。しかし、単なる蛇ではないことは、蛇がエバに語った内容からして分かります。つまり、大変な知恵を持った蛇だったからです。昔から、堕天使が蛇に化けて、エバを騙したとか、堕天使が蛇を操ってエバに話しかけたとか言われているのは、このエノク書の記述から来ていることは否定できません。

ユダヤ教では、ガデルエルで、キリスト教ではルシフェル、もしくはサタナキア?アスタロト?あたりでしょうか。

 

 第70章では、義人エノクが神に召されて生きたまま神の国に上げられたことが告げられています。実に肉のある人間のうちで、生きたまま神の選民として召し上げられた者は古代から現代までエノク以外に一人もいないのです。

第70章以降もエノクの見た幻の記述は続いていきます。これについて、「旧約聖書外典・下巻」の関根正雄氏によれば、本来は71章以降が70章よりも前になるはずだったのだろうと述べられています。その理由づけとて、エノク書は、エノク一人の記述であることには違いないのですが、後の写本の筆跡者達、筆者も年代も異なる多くの文書、もしくは資料の集成であり、最も古い部分は前170年頃であろうと言われ、最も新しい部分は紀元後1世紀中葉に付加されたものであると考えられるからです。当然の事ながら表現や用語も多様であり、重複や加筆修正も少なくないと言われています。しかし紀1元世紀にはほぼ現在伝えられている形で存在していたということなので、大きな編纂はないはずです。