tekuteku-tekutekuの日記

聖書研究と陰謀論

聖書外典偽典(旧約偽典)『エノク書』22

旧約偽典『エノク書

 

 

 

 第107章

 

 

 私は、何世代にもわたって人々が咎を犯し、ついには義の世代が起こって咎が滅び、罪が地表から姿を消し、あらゆる善がそこに現れる様がその書に書いてあるのを見た。

 

「だから息子よ、お前の子ラメクの所へ行って、今度生まれたあの子は真実彼の子であり、偽物ではないことを知らせてやれ。」

 

 メトセラは父エノクの言葉を聞いて、(彼は全ての隠されたことを彼に示した)戻り、ラメクに示し、その子の名を、彼が地を全ての滅び免れしめ、喜びをもたらすというので、「ノア」と名づけた。

 

 

 

 

 第108章(最終章)

 

 

 エノクが、メトセラと、彼の後に続き終りの時に掟を守る者達のために著した別な書。

 

 この掟を行い、悪をなす者共が消され、咎を犯す者達の力が滅ぼされる時を待ち望む君達よ、罪が過ぎるまで待つがよい。

彼等の名はいずれ聖者達の書から削られ、彼等の子孫は永久に滅び、その霊魂は殺され、人里離れた荒野で泣きわめき、この地上ならぬ火に焼かれるであろう。

 

 私は、はっきりとではないが、雲らしきものをそこで見た。

ただ、奥行きがあってよく見極められなかった。

私は赤々と燃え盛る火の炎を見た。

それは、きらきら光る山のようにぐるぐる回転し、また前後に揺らめいていた。

 

 私は同行の聖なるみ使いの一人に尋ねた。

「この光輝くものは何ですか。天ではなくて、燃え盛る火の炎にすぎないではありませんか。それと叫び声、泣き声、嘆きと激しい苦悩の声。」

 

 彼は私に言った。

「あなたがご覧になっておられるこの場所に、罪人達、冒瀆者達、及び悪を行い、来るべき事柄について、主が預言者達の口を通して語られたことを曲げる者達の霊魂が投げ込まれるのです。その中のある者は、天上に書き記してあり、み使い達がそれを読んで、罪人達と謙遜な者達、自分の肉体を痛めつけて神から報いを受け、悪人達に辱められた人達の霊魂にどういう事が起こるかを知ることが出来るようになっています。

 

 彼等後者は、神を愛して、金銀あるいはこの世のどんな良きものをの愛さず、自分の身体を拷問に委ね、この世に生まれて以来、地上の食い物を慕い求めず、むしろ己を過ぎ去る風と見なし、このような生き方に徹し、主は彼等を様々な試みに遭わせられたが、彼等の霊魂の潔さは証明され、彼等は彼の名を褒め称え続けた。

 

 

 彼等に対する賛辞を全てわたしは書に書き留めた。

そして主は、彼等が彼等の現世での命よりも天を愛する者であることが判ったので、彼等に賞を授けられた。悪人共から足蹴にされ、悪口、冒瀆の言葉を聞かされ、辱められながらも、彼等はわたしを褒め称えた。

 

 今わたしは光の世代の中から善人達の霊魂を呼び、暗闇の中に生まれた者、肉の姿にあった時その信仰に相応しい栄誉を受けなかった者達を変えよう。光の中に移そう。

わたしの聖なる名を愛する者達をわたしは輝く光の中へ導き出し、一人一人その栄誉の座に坐らせよう。彼等は、いついつまでも燦然(さんぜん)と輝くであろう。

 

 

 神の裁きは義であり、彼は正しい道の住まうところでは、真実な者には信仰を賜る。彼等は、義人達が燦然と輝く一方で、闇の中に生まれた者達が闇の中に投げ込まれるのを見るであろう。

罪人達は喚き立て、彼等が輝く様を見るであろう。そして、彼等の処罰の日と時とが書き記されている場所へ立ち去るのである。」

 

 

 

 

 

 

  以上、旧約偽典『エノク書』を紹介しました。