tekuteku-tekutekuの日記

聖書研究と陰謀論

聖書外典偽典(旧約偽典)『エノク書』9

旧約偽典『エノク書

 

 

 

 第52章(略)

 

 

 第53章

 

 

 そこにわたしの目は口を開けた深い谷を見た。乾いた大地と海と島々に住む全ての住民が、彼メシアに敬意を表してありとあらゆる贈り物を持ってくるのだが、その深い谷は溢れることがない。

彼等の手は不法を働き、正直者が汗水たらして稼ぎ出したものを、罪人達が不当にも食い荒らす。しかし罪人達は霊魂の主の前から滅び、彼の支配する地の面から永遠に、絶え間なく追い立てられるであろう。

 

 私は懲罰のみ使いが行ってサタンの責め具を整えているのを見た。私は同行の平和のみ使いに尋ねた。

「この責め具は誰のために整えているのですか。」

彼は私に言った。

これはこの地上の王者、権力者達のため、彼等を滅ぼすためのものである。」

 

 この後、義人にして選ばれたお方が現れ、彼に帰依した者の教団は、これより後、霊魂の主の名故に、妨げられることはない。これらの山は彼の御前に地のように、平らになり、丘は水の泉のようになり、義人達は罪人達に悩まされることもなくなる。

 

 

 

 第54章

 

 

 私は地の別な方向に身を転じて見つめていると、火の燃え盛る深い谷がそこに目に留まった。王達や権力者達はこの深い谷に連れて来られ、投げ込まれた。

そこに私の目は、彼等のための責め具、重さがいくらとも知れない鉄の鎖がこしらえられていくのを見た。

 

 私は同行の平和のみ使いに尋ねて言った。

「この鎖の責め道具は誰のためにこしらえているのですか。」

 

 彼は私に言った。

「これはアザゼルの軍勢のために、彼等を捕えて地獄の深みに投げ込み、霊魂の主が命ぜられた通りに、彼等の顎にごつごつとした石をいっぱいくっつけてやるために用意しているのである。 ミカエルとガブリエルとラファエルとぺヌエルがその大いなる日に彼等を掴んで、燃え盛る火の炉にその日投げ込むであろう。これはサタンの手下となって乾いた大地に住まう者を惑わした彼等の不法に霊魂の主が報いるためである。」

 

 その時、霊魂の主の刑罰が施行され、上なる天の全ての水の倉と、天の下及び地下にある泉が開かれるであろう。全ての水は上なる天の水と混ざり合う。上なる天の水は男性的であり、下なる地の水は女性的である。すべて乾いた大地に住む者、天の果ての下に住む者は滅び去る。この故に、彼等は自分達が地上ではたらいた不法を悟り、その故に滅びるであろう。

 

 

 

 第55章

 

 

 その後、高齢の頭は後悔して言われた。

「乾いた大地の上に住む者達全てわけなく滅ぼしてしまったようだ。」

 

 彼はその大いなる名にかけて誓われた。

「これより後、乾いた大地に住む者達にこういうことは二度としない。天に誓いの徴を置き、永遠に、天が地の上にある限り、わたしと彼等の間の信義の徴としよう。これからは、わたしの命令によってすべてが行われる。わたしが患難と悩みの日、わたしのこの怒りと懲らしめの前に、彼等をみ使い達の手によって捕えようと欲すれば、わたしの怒りと懲らしめは彼等の上に留まるであろう。」

 

 神、霊魂の主は仰せられた。

「乾いた大地に住む王達、権力者達よ。お前達はほどなく私の選んだ者を見るであろう。彼がわたしの栄光の座にすわり、アザゼルとその仲間、その軍勢のすべてを霊魂主の名によって裁くのを。」

 

 

 

 第56章

 

 

 私はそこに懲罰のみ使いの一団が、鉄と青銅の鎖を握って歩いているのを見た。私は同行の平和のみ使いに尋ねて言った。

「鎖を握っているこの人達は誰の所に行くところなのですか。」

 

 彼は私に言った。

「★めいめい自分が選んだ者、自分の愛する者達の所に行き、彼等を谷の深い穴に投げ込むのである。」

 

その時谷は★彼等が選んだ者達、愛した者達で溢れ、彼等の寿命は尽き、彼等の迷いの日はもはや数えられることはない。

 

 ※※その頃、み使い達は集合して頭を東の方、パルティア、メディアの民の方に向け、王達を動かすであろう。そうすると彼等王達は心に動揺をきたす。また彼等をその玉座からゆすぶり落とせば、彼等はそのねぐらを離れる獅子のように、飢えた狼のように彼等み使いの群れの中に出て来る。彼等は攻め上ってきて、彼等み使いが選んだ者達の土地を踏みにじり、神の選民の土地は脱穀場か街道のようになる。

 

 わたしの義人達の町は彼等の馬に障害となり、彼等は同士討ちを始め、その右手が彼等自身に対して強くなり、互いに誰が誰やら見分け難く、子も父母も知らず、ついには無数の屍を出す。彼等に対する懲らしめは無駄ではなかったと知ろう。その時黄泉は口を開き、彼等はその中に落ち込み、彼等の滅び、即ち黄泉が選民の眼前で罪人達をむさぼり食うであろう。

 

 

 

 第57~59章(略)

 

 

 

 

◆補足文

★この、めいめい自分が選んだ者達、自分が愛した者達…という表現は、懲罰を行うみ使い達が愛した者達を選んだように読んでしまいますが、別の訳を調べてみると講談社旧約聖書外典」下・新見宏訳では「枷をもったこれらの天使は誰に向かってゆくのですか。」すると彼は答えた。「彼等は悪魔が選び、愛した者達の所にゆくのだ。これらの者は谷の深淵の裂け目に投げ込まれる。」そして谷は彼等が選び、愛する者らで満たされ、彼等の命の日は尽き…となっていますから、(54章の内容からもつなげると)こちらの、新見氏訳の解釈になると思います。

次の文章はこれも分かりにくいのですが、これも新見宏訳の説明タイトルには56章冒頭から、彼等の迷いの日は数えられることはない。までが「アザゼルと見張りの者達の最終的な審判」となっており、次の※※からが「異邦の諸国とイスラエルの最終の戦い」となっていますので、参考までに…。