tekuteku-tekutekuの日記

聖書研究と陰謀論

聖書外典偽典(旧約偽典)『エノク書』21

旧約偽典『エノク書

 

 

 

 第104章

 

 

 義人達よ、私はあなた方に誓う。

天上ではみ使い達が大いなる方の栄光の前で君達のことを覚えていてくれ、

君達の名は大いなる方の栄光の前に書き留められている。

 

 希望を持つがよい。

かつては不幸や難儀で恥かしい思いをしたであろうが、これからは、君達は空の光のように輝き、(みんなの前に)姿を現し、天の門は君達のために開くであろう。

君達の叫びは裁きを求める叫びとして続けよ。それはきっと実現する。

あの官憲どもを及び君達のものをかすめる者に手を貸した全ての者は、君達に難儀をかけた報いを受けるであろう。

 

 希望を持て。希望を捨てるな。

君達はみ使い達のような大きな喜びに浸るであろう。

君達は何を成すべきか。大いなる裁きの日には逃げ隠れする必要はない。

また罪人扱いをされることもないであろう。

永久の裁きは永遠に渡って君達とは関わりがない。

 

 

 さて、義人達よ、罪人達が威勢よく、自分の好きなようにうまくやっているのを見ても恐れるのではない。彼等に組することなく、むしろ彼等の不法からは遠ざかれ。

君達は天の軍勢にこそ組すべきなのである。

 

 君達罪人は言うであろう、

「取り調べなど受けるものか、我々の罪が一々記録されたりしてたまるか。」と。

しかし事実、君達の罪は全部毎日記録されているのである。

今私は、光と闇、昼と夜が君達全ての罪を目撃していることを君達に示そう。

 

 心の中で不義を犯すな、嘘をつくな、真理の言葉を変えるな、聖にして大いなるお方の言葉を虚偽などと言うな、君達の偶像を有難がることを辞めよ。

君達の偽り、君達の不義は義に至るものでなく、大いなる罪に至るものである。

 

 

 さて、私はこの奥義を知っている。

多くの罪人達が真理の言葉を変えて道を踏み外し、よからぬことを口にし、嘘をつき、とんでもないことをでっち上げ、自分の教説について書を表すであろう。

しかし、彼等が私の言葉を彼等の言葉で全部正確に書き取り、私の言った言葉を変えも削りもせず、私が先に彼等について述べたことを全部正確に書き取った時には。

 

 私は別な奥義を知っている。

即ち、義人達と賢者達には、書が与えられて、喜びと真理と豊かな知恵の基となろう。彼等に書が与えられ、彼等はそれを信じて、それを喜び、それによって真理の道を知るに至った全ての義人は報いを得るであろう。

 

 

 

 

 第105章

 

 

 その時、と主は言われる。

 

「地の子等を呼び寄せて知恵のついての教えを聞かせてやるがよい。

彼等に見せてやるがよい。君達は彼等の案内役ではないか。

全部の報いを見せてやれ。

わたしとわたしの子は彼等の生きながらえる間、真理の道において永久に彼等と一体となる。君達には平和があるであろう。」

 

 喜べ、真理の子等よ、アーメン。

 

 

 

 

 第106章

 

 

 しばらくの後、私の子メトセラはその子ラメクに嫁をとってやったが、彼女は彼によって孕み、男子を出産した。

 

 彼の身体は雪のように白く、またバラの花のように赤く、頭髪ことに頭のてっぺんの髪は羊毛のように白く、眼は美しく、彼が眼を開けると、それは太陽のように家中を隈なく照らし、家全体がいよいよ明るくなった。

彼は、産婆の手を離れて立ち上がると、口を開いて義の主を賛美した。

 

 父のラメクはこれに恐怖を覚えて逃げ出し、父メトセラの所を訪ねた。

彼は言った。

「風変わりな子が生まれました。人間には似ても似つかず、天使達の子に似ていて、とにかく造りが尋常ではなく、私達とは違って眼はお天道様の傘みたいで、顔はきらきら光っております。あれは私の子ではなく、み使いが父親ではないかという気がします。あれが生きている間に地上に異常があるのではないかと思うと怖くてなりません。

ところで、お父さん、私のたっての願いですから、私共のご先祖エノクを訪ねて本当のところを聞き出していただきたいのです。あのお方はみ使い達とお住まいだというではありませんか。」

 

 メトセラは彼の子の言葉を聞いて、地の果てにいる私の所に来た。

私がそこに居るということを聞き込んだのであろう。彼が大声を出したので、私はその声を聞き、彼の所へ行って言った。

「さあ、お前が訪ねて来たというから、こうして会ってやるのだ。」

 

 彼は私に答えた。

「大事なことで参上いたしました。どうも気になる幻のことでやって参りました。さて、お父さん、聞いて下さい。私の子ラメクの子供が生まれたのですが、これが並みの子ではなく、その造りも人間のようではなく、肌の色は雪のよりも白く、バラの花よりも赤く、頭髪は白い羊毛よりも白く、眼はお天道様の傘のようで、あれが眼を開けると家中が明るく輝くといった有様です。

産婆の手を離れて立ち上がると、口を開いて天の主を褒め称えました。父親のラメクは怖がって私の所に逃げて来て、あれが我が子だとは信じられず、ああいうのは天使の子に違いないと言ってききません。そういう次第でお父さんの所へこうしてまかり出、本当のところを教えていただきたい、とこういうわけです。」

 

 私エノクは答えて彼に言った。

「主は地上に新しいことを成さろうとしておられる。それを私ははっきり分っているし、幻でも見た。

 

 お前に話した通り、私の父さんのャレデの時代に、天使の中のある者達が主の言葉に背いた。見ろ、彼等は罪を犯し、掟に背き、女達と交わり、これと一緒になって罪を犯し、その中から妻を娶って、子を設けた。彼等は地上に、霊の者ならず、肉の者なる巨人を産むであろう。

 

 

 地上には大いなる刑罰が臨み、地は全ての穢れから清められるであろう。

大いなる滅亡が全地に臨み、大洪水が遅い、大いなる滅亡が一年間臨むであろう。

お前達の所に生まれたその子は地上に生き残り、彼の3人の子も一緒に助かるであろう。地上の全人類が死ぬ時、彼とその子等は助かるであろう。

 

 ところで、お前の息子ラメクには、生まれた子は正しく彼の子だ、と知らせてやれ。そして、その子の名はノアとせよ。というのはお前達にとっては彼が生き残りとなり、彼とその子等が彼の時代にあって、その絶頂に達するありとあらゆる罪と暴虐の故に地上に臨むであろう滅亡から救われるのだ。

 

 

 この後、以前に地上にはびこったものよりももっと酷い暴虐が行われるであろう。

私は主ご自身が私に見せて下さり、知らせて下さり、また天の書板を読んだことがあるので、聖者達の奥義を知っている。」

 

 

 

 

 

 

 

◆補足文

解説によると、この第105章からはいよいよ「エノク書」のエピローグへと入っていきます。第106~107はノアの奇蹟的出生について語り、最終章第108章でエノクは悪人の霊魂にはゲヘナの火が、義人には祝福が待っていることを語って敬虔な者に今しばらくの忍耐を促しています。

 

 実は第106章で、ノアの名前を名づけたの主であり、それを息子のメトセラにエノクが伝えたのだということは、聖書の「創世記」には書かれていません。

 

 <創世記>5:28「そしてレメクは182年の間生き、その後一人の父となった。そして彼はその名をノアと呼んでこう言った。『この者はャハウェが呪われた地面から来る私達の仕事と慰めをもたらしてくれるだろう。』」

 そして、この後の

 <創世記>6:1「さて、人が地の表に増え始め、彼等に娘達が生まれると、その時にまことの神の子等は人の娘達を見、その器量の良いことに気づくようになった。そして彼等は自分達のために妻を、全て自分の選ぶところの者を娶っていった。

6:4~その時代、またその後にも、ネフィリムが地に居た。それはまことの神の子等が人の娘達と関係を持ち続け、その娘達が彼等に子供を産んだことで、それらは昔の力ある者達、名のある人々であった。」

と続いています。

 

 読んでいると、なんだか不自然などこか文脈に抜け落ちた箇所があるように思えます。多分この<創世記>5章と6章の間に、本来ならこの「エノク書」が入っていなければいけなかったのです。これは多分「聖書」と「エノク書」を読んだことのある者なら感じずにいられないのではないでしょうか。もし、入っていたのなら、ごく自然なものになっていただろうし、霊的な事実ももっと受け入れやすいものになっていたでしょう。それに、世界中で発見されてきた巨人達の骨が、実はスミソニアン博物館(ロックフェラー財団)によって隠蔽されてきた事実も恐らく無かったはずです。恐竜たちもこのネフィリムの時代に誕生したものだと言われているのです。