『エゼキエル書』
第6章
剣と飢餓と疫病 (省略)
第7章
イスラエルの終わり
ャハウェの言葉が私に臨んで言った。
「人の子よ、あなたはこう言え。
イスラエルの地に向かって、主ャハウェがこのように言ったと。
終わりだ、終わりがやってきた。
この地の四方の隅々にまで。
今や、終わりがお前の上を覆い
わたしがお前に怒りを放つ。
お前の歩みに応じて、わたしはお前を審き、
お前の忌まわしい行為をお前に返す。
わが眼はお前を見逃さない。
わたしは容赦しない。
実に、お前の歩みをわたしはお前に返し、
お前の忌まわしい行為がお前の只中に起こる。
こうして、お前達は知るであろう。
わたしが、ャハウェであると。」
主ャハウェがこのように言った。
「災いにつぐ災いが、見よ、やって来た。
終わりがやって来た、終わりがやって来た。
お前に、見よ、終わりがやって来た。
この地に住む者よ、※①輪がお前にやって来た。
その時がやって来た。
その日は近い。
それは恐慌であって、山々での歓呼ではない。
今や、すぐにも、わが憤怒をお前に注ぎ、
お前に対するわが怒りをとどめよう。
お前の歩みに応じて、わたしはお前を審き、
お前の忌まわしい行為をお前に返す。
わが眼はお前を見逃さない。
わたしは容赦しない。
実にお前の歩みをわたしはお前に返し、
お前の忌まわしい行為がお前の只中に起こる。
こうして、お前達は知るであろう。
わたしがャハウェ、打ち滅ぼす者であると。
見よ、その日、
見よ、やって来た。
※②輪が出来(しゅつたい)した。
不法が花咲き、うぬぼれが芽生えた。
暴虐が起こり、邪悪の杖となった。
彼等からでなく、彼等の群勢からでなく、
彼等の喧噪からでなく、彼等の間の悲嘆でなく。
その時がやって来た、その日が訪れた。
買い主は喜ぶな、売主は悲しむな。
激怒がその全群勢に臨むからだ。
売主は売った物に戻らない。
まだ彼等の命が生きていても、幻がその全軍勢に戻らないからだ。
人は各自の咎のゆえに、誰も己の命を確保できない。
角笛を吹き鳴らし、すべてが整っても、戦争に行く者がいない。
わが激怒がその全軍勢に臨むからだ。
剣が通りに、疫病と飢餓が家にあり、野にいる者は剣にかかって死ぬ。
町にいる者は、飢餓と疫病がこれを襲う。
逃げのびる者達が逃げのびて、山の上に登っていようとも。
彼等はみな、各自の咎のゆえに、※③谷間の鳩のように呻く。
すべての手は垂れ下がり、※④すべての膝は水に溶ける。
※⑤彼等は粗布を腰にまとい、戦慄が彼等を覆い尽くす。
表情にはいずれも恥辱、※⑥彼等の頭はすべてが禿。
彼等は自分の銀を通りに投げ棄て、彼等の金は汚物も同然となる。
ャハウェの憤りの日には、
銀も金も彼等を救い出せはしない。
それらは、彼等の魂を充足もせず、彼等の身体を満足させもしない。
むしろ、彼等の※⑦咎の躓きとなった。
彼等はその麗しい飾りを誇りとし、
それで自らの忌まわしくもおぞましい偶像を造った。
それゆえ、わたしはそれを彼等の汚物とした。
わたしはそれを略奪品として異国人の手に、
分捕物として、地の邪悪な者達に渡す。
彼等がそれを冒涜するであろう。
わたしは彼等から顔を背け、彼等は※⑧わが宝物を冒瀆するであろう。
強盗等がそれを冒瀆するために押し入り、殺戮を行うであろう。
この地が血による審きで満ち、町が暴虐で満ちているからだ。
わたしが諸国民から悪者どもを引き入れ、
彼等の家々をその悪者共が奪い取る。
わたしは強い者達の誇りを消滅させ、※⑨彼等を聖別する者等は冒瀆される。
動揺が彼等を襲うので、彼等が平和を求めても、それはない。
災難に災難が続き、流言に流言が重なる。
彼等は預言者に幻を求め、祭司からは律法が、長老からは助言が消滅する。
王は悲しみにくれ、指導者は荒廃をまとい、この地の民の手は愕然とする。
わたしはその歩みによって彼等を処分し、
その公正さに従って彼等を審く。
こうして、彼等は知るであろう、
わたしがャハウェであると。」
◆補足文
(※①輪が…言語ッェフィラー。文脈上の意味不明。解釈に「転換」「順番」
「運命」「没落」、読み替えに「収穫」「強奪」など。この語の用例は他に<イザヤ書>28:5のみ。翻訳ではそのまま「輪」とした。
※②輪が出来した。…70人訳はこの2行「見よ、終わりがやって来る。見よ、主の日が。」
※③谷間の鳩のように呻く。…70人訳。「わたしがすべて殺す。」
※④すべての膝は水に溶ける。…字義通りには「水となって去り行く。」
※⑤彼等は粗布を腰にまとい…悲嘆を表わす行為。
※⑥彼等の頭はすべて禿。…悲嘆。恥辱に際して行う剃髪行為を示唆。
※⑦咎の躓き…偶像のこと。
※⑧わが宝物…イスラエルの民のこと。原意は「保護されたもの」「秘匿されたもの」
※⑨彼等を聖別する者…偶像ないし、異教の神々。但し、原語メカドシェーヘムをミクデシェ―ヘムと読み替えれば、「彼等の諸聖所」。)