tekuteku-tekutekuの日記

聖書研究と陰謀論

アッシリアの都市「ニネヴェ」の話

 

1,聖書の中に出てくるアッシリアの都市「ニネヴェ」

 

 

 前回からの続きとして、ニムルドに関しては、まだまだ説明があります。

説明が重複してしまいますが、<創世記>8:12より、ニムルドは神「ャハウェ」の前に狩人の勇士とされ、メソポタミアのバベル(バビロン)、エレク(ウルク)、アッカドの諸都市を支配し、更に北のカラハ(現在のニムルド・※ニムルド遺跡があります。アシュルナシルパル2世により王都・軍事上の首都だった。)、ニネヴェなどの都市を建てたとされています。そしてアッシリアは、ユダおよびイスラエルの敵として、何度も聖書に言及されているのです。

 

 しかし、このアッシリアの地に最初に居住したのは、セムの子アシュルでした。そのアシュルの名前から。アッシリアの地名となったのです。ところが、この地は早くから外敵の侵入を受け、つまりハムの孫である二ムロドによって征服されてしまったのです。いずれにせよ、アッシリアと首都ニネヴェが、バビロンから発達したということは、歴史的な事実となっています。

 

 

 このニネヴェは帝国最初の首都であり、新アッシリア帝国の王センナケリブエルサレムと激しく敵対し、聖書中に13回も名前が挙げられている人物。)によって壮麗に建築されました。センナケリブは帝国の黄金期を築いた人物として有名です。またニネヴェにはアシュルバニパルの図書館もあります。

 

 しかし、この美しいニネヴェは聖書中には「災いの町」として何度も出てきており、有名な預言者イザヤや、ミカ、ヨナ、ゼパニア、ナホム、また、イエス使徒であるルカの書の中にもこの町の名前が出てくるのです。ちょっと、下記に順番に紹介します。

 

 

 <ミカ書>5:5では アッシリアは「ニムルドの国」と呼ばれています。

 <ミカ書>5:5

 「またこの都は平和とならねばならない。アッシリア人が私達の住まいの塔を踏みにじるその時、私達もこれに対して…そして彼等は正に剣を持ってアッシリアの地を二ムルドの地の入口を牧する。」

 

 

 

 <ヨナ書>においては、BC900年に預言者ヨナへ、神がニネヴェの住人の邪悪さにこの町を滅ぼすことを決め、それを告げ知らせるように命令しました。しかしこの時はニネヴェの人々の改心により回避させられます。

<ヨナ書>1:1

 そして、ヤハウェの言葉がアミタイの子ヨナに臨むようになって、こう言った。

「立って、大いなる都市ニネヴェに行き、彼等の悪がわたしの前に達したことを触れ告げよ。」

 

 

  <ゼパ二ヤ>2:13

 「また神はその手を北に伸ばして、アッシリアを滅ぼす。そしてニネヴェを荒れ果てた所、荒野のように水のない地域とする。…」

 

 

  <イザヤ>37:36

 こうしてヤハウェの使いが出て行って、アッシリアの陣営で185,000人を打ち殺した。人々が朝早く起きてみると、見よ、みな死体となっていた。

アッシリアの王、センナケリブは立ち去り、帰ってニネヴェに留まった。

 

 

 

◆補足文

 (ニムルド遺跡の宮殿壁面の浮彫には、ライオン狩りはアッシリアの王達の遊びであり、ニネヴェそのものを「ライオンの洞」と呼んでいたことがわかります。)

  

 

 

  <ルカ>11:29

 群集が寄り集まって来た時、イエスはこう言い始められた。

「この世代は邪悪な時代です。しかし、ヨナのしるし以外には、何のしるしも与えられないでしょう。ちょうどヨナがニネヴェに対するしるしとなったと同じように。人の子もこの世代に対するしるしとなるのです。

 

 

 

 

 2,ニネヴェは「流血の都」

 

 

 ニムルドが狩りを好み残忍であったように、彼の子孫(もしくはハム系の子孫)であるアッシリアの王達も基本的に軍事強国として、その残忍な性格と支配で他国から恐れられていました。

遺跡による浮彫の彫刻の示すところによると、ニネヴェはヘブライ人の預言者ナホムが言っているように「血を流す町」でした。

アッシリアの帝王の一人、アシュルナシルパルは、反逆した都市に対して行った処罰を次のように説明しています。

 

 アッシリアバビロニアの古代の記録』D・D・ラッケル著より

 

 「わたしは、彼の都市の城門の前に、それよりも高い柱を建てて、反乱を起こした首領達のすべての皮をはぎ、彼等の皮でその柱を覆った。ある者達をわたしはその柱の中に閉じ込めて、またある者達は柱の上で杭に突き刺した。また、反逆した王室の役人共の手足を切断した。彼等の中の多くの捕虜をわたしは火刑し、多くの者を生け捕りにした。わたしはある者達の手や指を切り取り、他の者達の鼻や耳や指を切り落とし、多くの者達の目をえぐり出した。わたしは生きた者達で一本の柱を作り上げ、頭でもう一本の柱、木の幹に縛り付けた。彼等の男児や女児達を火の中で焼いた。20人の男をわたしは生け捕りにして、彼の王宮の壁に埋め込んだ。彼等の戦士等を、わたしはユーフラテスの砂漠で、喉の渇きで死に絶えさせた。」

 

 

 他にも浮彫の示すところには、捕虜達は、鼻や唇に穴を空けられ、その穴に留金が取り付けられ、その留金に綱が結ばれて連れて行かれた様子などが描かれています。

彼等、歴代のアッシリアの王達はこうした残忍な虐殺行為を有利に働かせ、攻撃を仕掛けてくる者達に恐怖の念を覚えさせ、大抵の相手の抵抗力を萎えさせました。アッシリアの王達はこうしたやり方を自慢し、誇りとして後世に伝えていたのです。

 

 

 

 

 3,アッシリアの宗教

 

 

  アッシリアの宗教は、だいたいはバビロンから受け継いだものでした。

アッシリア人は、自分達の国家的な神アシュルを祀り、引き続きバビロンを宗教上の主要な中心地とみなしていました。(つまり、アッシリア人の宗教はバビロン人から受け継いだ宗教とあまり変わらないものだった。)

そして、アッシリアの王は、アシュルの大祭司も務めていました。

A・H・レヤードによって、アッシリアの王宮の廃墟で見つけられた印章は、アシュル神を3つの頭を持つ神として表しています。

3つ組の神に対する信仰は、アッシリア人の礼拝の顕著な特色でした。

 

 主要な3つ組の神は、天を表すアネル、人や獣や鳥の住む地域を表すベル、および陸上と地下の水を表すエアで構成されていました。

2番目の3つの組は、月神シン、太陽神シャマシュ、および嵐の神ラマンで構成されていました。もっとも、ラマンの場所を星の女王イシュタルが占めることも少なくなかったようです。

 

 次いで、5つの惑星を表す5体の神々がありました。

三位一体のグループを構成する神々について註解した、『ウンガ―聖書事典』には、これらの神々は時々、各々を順番に他に対する地位に引き上げるような言い回しで、別々に呼びかけられていると述べています。しかし、彼等の万神殿には他の無数の下級の神々が祭られており、その多くは守護神となっていました。

 

 センナケリブは、この都市の34にもなる神殿の名前を挙げています。

 

 これらの神々に関連して報じられていた宗教は精霊的な宗教でした。

つまり、アッシリア人は、あらゆる物体や自然現象は精霊によって生気を付与されていると信じていたのです。この宗教は、周囲の国々で広く行われていた自然崇拝とは特徴的には異なっており、戦争がその国家的な宗教の最も本質的な表現でした。つまり、戦争に出る時の歴代の王達は、戦争の勝利や願いを神々に祈り、勝てば神々を称えていました。

サルゴン王は、戦いの女神である「イシュタル」に祈願し、彼の軍隊は木製か、金属製の神の象徴物を棒に取り付けるなどし、神々の旗の後ろに従って進軍しました。

犠牲として捧げられた動物の肝臓や鳥の飛び方、惑星の位置などを調べ、確かめられた吉凶のしるしを重要視していました。戦いは国家の事業であるため、祭司達は絶えず戦争を(占術・霊媒によるなどして)扇動していました。

もっとも、祭司達の生活は主として征服を行って得た戦利品で支えられており、戦利品は他の人々に分けられる前に、決まって一定の割合で祭司達に分配されていたのです。

 

 

 

4,アッシリアの滅びは神によって定められていた。

 

 

 上記までに書かれている通り、アッシリアの邪悪さは、神によって滅ぼされることが定められていたようです。預言者ナホムは次のように預言しています。

 

 

 <ナホム書>2:1~

 

 散らす者があなたの顔の前に上って来た。防備を施した所の守りを固めよ。道を見張れ。腰を強くせよ。大いに力を増し加えよ。

ャハウェは必ず、イスラエルの誇りのように、ヤコブの誇りを集めるのである。奪い去る者達が彼等から奪い去ったからである。…

 

 神の力ある者達の盾は赤く染められている。その活力ある者達は深紅で装っている。神が備えをする日、その戦車は鉄の装備の火を伴う。ねずの木の槍はわなないた。

街路では戦車が狂ったように駆けめぐる。公共広場を右へ左へ突き進む。その様は松明のようである。それらは稲妻のように疾駆(しっく)する。

神はその威光ある者達を思い出される。彼等は歩きながらつまづく。彼等はその城壁に急ぐ。防柵をしっかり固めなければならない。河川の水門は必ず開けられ、宮殿もまさに崩れ落ちる。そしてことは定められた。……

 

 

 「立止まれ!あなた方は立ち止まれ!」

だが引き返す者はいない。あなた方は銀を強奪せよ。金を強奪せよ。整え置かれた物は限りないからである。あらゆる望ましい品々が大量にある。

 

 空虚と虚ろ、荒廃させられた都市!

そして心は溶け入り、膝はよろめき、激しい痛みがすべての腰にある。

彼等すべての顔は興奮のほてりをつのらせた。 

 

 ライオンの洞はどこなのか。ライオンはそこを歩き、中に入り、ライオンの子はそこにいる。これをおののかせる者はいない。

ライオンは自分の子等のために十分かき裂き、自分の雄ライオンのために絞め殺すのであった。また自分の穴を獲物で、その隠れ場を、かき裂いた動物で常に満たした。

 

 「見よ、わたしはあなたを攻める。」

 と万軍のヤハウェはお告げになる。

 

 「わたしは彼女の戦車を煙の中で焼き尽くす。また、あなたの鬣(たてがみ)のある若いライオンたちを剣がむさぼり食う。そしてわたしはあなたの獲物を地から断つ。あなたの使者達の声はもはや聞かれない。」

 

 

 この流血の都市は災いだ!彼女はただ欺きと強奪に満ちている。……

 

 馬上の騎手、剣の炎、槍の稲妻、打ち殺された多数の者、大量の死骸。

死体は果てしなく続く。彼等はその死体の中で幾度もつまづく。

これは、この売春婦のおびただしい売春行為のためである。それはあでやかさで魅惑する者、呪術の女王、その売春によって諸国民を、その呪術によって諸々の家族を罠に掛けている者である。

 

 

 「見よ、わたしはあなたを攻める。」

 と、万軍のャハウェはお告げになる。

 

「わたしはあなたのすそをあなたの顔に被せて、諸国民にあなたの裸を、諸々の王国にあなたの不名誉を見せさせる。また、わたしは嫌悪すべきものをあなたの上に投げ、あなたを卑しむべみ者とする。あなたを見せものとするのである。

そして全てあなたを見る者は、あなたから逃げ去って、必ずこう言うであろう。

 

『ニネヴェは奪い取られた!誰が彼女に同情を寄せるだろうか。』

 

……あなたも酔いしれる。隠されたものとなる。

あなたも敵を防ぐための砦を求めるであろう。

あなたの防備を施された所はみな、熟した初物を付けたイチジクの木のようである。

揺すられると、それは食らう者の口の中に落ちるのである。

 

……アッシリアの王よ、あなたの牧者達は眠りこけてしまった。

あなたの威光ある者達はその屋敷の中に留まっている。あなたの民は山々の上に散らされ、これを集め寄せる者はいない。

あなたに臨む大変災からの安らぎはない。

 

あなたに関する知らせを聞く者はみな、あなたに向かって必ず手を叩く。

なぜなら、あなたの悪を絶えず身に受けなかった者が誰がいるのだろうか。」

 

 

 

 と書かれているようにニネヴェの町、そしてアッシリアは滅ぼされたのでした。