tekuteku-tekutekuの日記

聖書研究と陰謀論

聖書外典偽典(旧約偽典)『エノク書』4

旧約偽典『エノク書

 

 

 

 第13章

 

 

 エノクは席を立って行き、アザゼルに言った。

「君には平安が得られないであろう。厳しい審判が君に下された。君を縛るであろう。憩いも望みも慈悲も君は得られないであろう。君が無法を説いたからであり、人の子等に君が示したありとあらゆる◯神、無法、罪の業のためである。」

 

 

 それから、私は彼等みんなの所に行って一同に話すと、彼等はみな恐れ、恐怖と身震いが彼等を捉えた。彼等は罪の許しを得るための嘆願書をしたためてくれるように、そしてその嘆願書を天に、神の所に届けてくれるように私に求めた。というのも、彼等自身、裁きの既に下ったその罪過が恥かしくて、もはや神に語り掛ける事も、目を天に上げることも出来ないからである。そこでわたしは、彼等が罪の赦しと刑の執行猶予が得られるように、彼等の魂と行為の一つ一つに関して、嘆願と祈願の書をしたためてやった。わたしはダン、即ちヘルモンの西南にあたるダンの河辺に行って腰をおろして彼等の嘆願書を読んでいたが、そのうち眠り込んでしまった。

 

 

 見よ、夢が私に臨み、幻が私に降りかかった。私は告発の場面の幻を見たが、これを天の子等に告げて彼等を諫(いさ)めよ、というのであった。眼が覚めて、彼等の所に来てみると、レバノンとセネセルの中間にあるウブレスヤエルに皆一緒に集まって、坐って、顔を覆って泣いていた。私は彼等に、私が眠っていて見た幻のことをすっかり語り、義の言葉を述べ、天の寝ずの番人達への叱責に移った。

 

 

 

 第14章

 

 

 これは、聖にして大いなるお方があの幻を通して命ぜられたままを書き記した、義と永遠の寝ずの番人達に対する叱責の言葉の書である。大いなるお方が人間に、それでもって語らい、理性で悟るようにと授けられたところの肉の舌と口の息とで告げようと私が今している事を、私は眠っている最中に見た。

 

 

 彼は、人間を創造してこれに悟りの言葉を理解させられたように、私をも創造し、天の子等、寝ずの番人達を叱責することを許されたのである。私は君達の嘆願書をしたためた。だが私が幻で見たところによると、君たちの願いは永久に叶えられることはないであろう。それに、君達に対する審判はもう済んでおり、それ、願いが叶えられることはない。

 

君達は今後、絶対に天に上ることはない。君達を永遠に地上に縛り付けておくようにとの命令が出ている

その前に、君達は愛する我が子の滅びを目撃するだろう。彼等を我がものにすることは出来ず、君たちの眼前で剣に倒れていくであろう。彼等についての君達の嘆願も、また君達自身についての嘆願もいれられず、君達が涙ながらに哀願しても、私が書いてやった嘆願書の一言を口にすることすら許されないであろう。私に現れた幻は次のようなものだった。

 

 

 見よ、幻の中の雲が私を招き、霧が私を招き、星の運行と稲妻が私をしきりと急き立て、幻の中の風は私を飛ぶように走らせ、急かせるのである。これらは私を天高く運び上げ、私は雪のような水晶で建てられ、炎で取り巻かれた壁の近くまで入っていった。これには私は恐れをなした。私は炎をくぐって水晶石でできた大きな建物に近づいた。その建物の壁は水晶石の石板をモザイクのようにはめ込んで出来ており、その土台は水晶だった。屋根は星と稲妻の道筋に似ており、その真ん中には火のケルビム、その天は水のように澄み切っていた。燃え盛る火が壁を取り巻き、扉は燃え上がった。私はその家に入って行ったが、火のように熱く、雪のように冷たく、人の心を楽しませるようなもの、命あるものは何一つとしてそこには無く、恐怖が私を覆い、戦慄が私を捉えた。こうして震えおののきながら身を伏せると、幻が見えた。

 

 

 見よ、先のより大きい別な家がそこにあった。その扉は全て私の前に開かれており、それ、家は火の舌で建てられていた。全ての点において、即ち、きらびやかさ、豪華さ、巨大さにおいて秀でており、そのきらびやかさ、巨大さをあなた方に上手く伝えることは出来そうにもない。床は火、その真上に稲妻と星の軌道があり、屋根も燃え盛る火である。私がじっと眺めていると、その中に一段と高くなった座席が見え、その外観は霜のようで、周囲には太陽のようなものがあり、光を放っていた。またケルビムの声もした。その大きな座席の下から燃え盛る火が幾筋も流れ出し、それ、座席を見ることが出来ない。大いなる栄光をまとわれた方がそれに座しておられる。その衣は太陽よりも明るく輝き、どんな雪よりも白い。

 

 

 み使いの中の誰一人としてここに入って来ることは出来ない。肉なる者は誰一人として、栄えあるお方の御顔を直に拝することは出来ない。燃え盛る火の海が彼の周りにあり、大きな火が彼の前に立ちはだかっていて、彼に近づく者は、彼の周りにいる者の中に一人もいない。何十万人と彼の前に侍っているのに、彼は聖なる忠言を欲せられない。彼に近づく聖者、み使い達は、夜も昼も、彼から遠ざかり引き下がりもしない。

私はこの時まで顔を覆い、身震いしながら面を伏せていたが、主はその口をもって私を招き、こう仰せられた。

「エノクよ、近う寄れ、わが聖なる言葉に。」

彼は私を立たせて、扉の所まで連れて行かれたが、私はといえば、うつむいたまま下、地面を見つめていた。

 

 

 

 第15章

 

 

 彼は私に答えて自ら語りかけられた。

「聞け。義人にして義の学者エノクよ、恐れるな。ここへ近う。わたしの言うことを聞け。君にとりなしを頼んでよこした天の寝ずの番人達の所へ行って言ってやれ。」

 

 

 『お前達が人間に代わってとりなすのが当たり前なのに、人間にお前達のとりなしをしてもらうとはどういうことだ。どうしてまた、はるか高く、聖なる永遠の天を見捨てて、女どもと褥(しとね)を共にし、人間の彼等を相手に身を穢し、妻を娶って、地の子等と同様に振舞い、巨人の子を設けなどしたのだ。お前達は、霊的な聖なる者、永生に預かっている身でありながら、女どもを相手に身を落とし、肉の血によって欲情に燃え、彼等がやっいるてのと同じように血肉の子を設けたが、これはやがて死に滅び定めにあるのだ。それ故に、彼等に女を与え、これに種をまいて子を設けさせたのだが、それは、地上で同様のことが行われるようにするためであった。

だがお前達は、元は霊的存在、いつの世になっても死ぬことがない永生に預かっている存在だった。それ故に、お前達には女をあてがわなかったのだ。霊的な者の居所は天にある故。』

 

 ※『ところで、霊と肉とから生まれた巨人達は、地上で悪霊と呼ばれ彼等の住居は地上にある。悪霊が彼等の体から出た。彼等は人間から創造され、彼等の最初の起源と土台とは聖なる寝ずの番人であるから、地上では悪霊であり、悪霊と呼ばれるのである。

天の霊は天にその住居があり、地上で生まれたところの地の霊は地上に住居がある、巨人達の霊は苦しめ、暴力をふるい、腐敗堕落し、争い、地上で破壊し、問題を引き起こし、何にも食せずそれでいて飢え、乾きを覚え、足元が危なくなる。これらの霊どもは人の子等と女達に攻めかかる。それは、彼等霊が彼等、人の子と女から出たからである。』

 

 

 

 第16章

 

 

 ※※殺戮と堕落の日、霊達がその体から出て来た巨人達の死の日、彼等の肉は、裁きにもあわずに頽廃に身を委ねることであろう。そのようにして、大いなる裁きが大いなる世界、寝ずの番人と不敬虔な者達に対して行われる日まで、自堕落な生活にふけることだろう。

 

 

 「さて、君にとりなしを頼んでよこした寝ずの番人達については、彼等は前には天にいたのだが、こう言うがよい。『さて、お前達は天にいて、隠されたことを明かしてもらっていなかった。しかし、お前達はつまらぬ秘密を知るようになり、これを心の頑ななお前達は女達に明かしたので、この秘密のおかげで、女達と人間達は地上に悪をはびこらせている。』それ故、彼等に言ってやるがよい、『お前達に平安はない。』と。」

 

 

 

 

 

 

◆補足文

※・※※この文にあるように、神の決定により巨人が死後、悪霊となってこの世を彷徨い人間に悪さをするようになったのですが、彼等の裁きはこの文面の通りで、刑の執行は、親である堕天使(寝ずの番人達)と共に現在までまだ行われておりません。

(人間にしてみればこの時から、既に何千年も経っていますから本当に長すぎる時間ですが……)この者達の刑の執行は、神の大いなる日、つまりキリストの最期の審判で行われるのです。そして、同時に彼等の血統の子孫と、悪魔に魂を売った人間達もその時に同様に裁かれることになります。)