『エゼキエル書』
第45・46章
献納地
奥の中庭の門、種々の供犠・供物
(省略)
第47章
神殿から流れ出る水
彼は私を神殿の出入口に連れ戻した。
すると、見よ、水が神殿の敷居の下から東へと流れ出ていた。
神殿の正面は東向きだったからである。
その水は祭壇の南側から、神殿の南の脇壁の下を流れ下っていた。
彼は私を北門から外側に連れ出し、東向きの外門に回らせた。
すると、見よ、水が右の脇壁からばしゃばしゃと流れ出ていた。
その人は、測り縄を手にして流れに沿って東に出て行き、1000アンマを測り、
そこで私に水の中を、踝(くるぶし)まである水を渡らせた。
彼はさらに1000アンマを測り、そこで私に水の中を、膝まである水を渡らせた。
彼はさらに1000アンマを測り、そこで私に水の中を、腰まである水を渡らせた。
彼はさらに1000アンマ測ったが、それは、もはや私には渡れない川であった。
水が増して、泳がなければならないほどの水、
歩いては渡れない川になっていたからである。
彼は私に言った。
「人の子よ、あなたは見たか。」
そして私を連れ行き、川の岸辺に連れ戻した。
私が戻ると、見よ、その川の岸辺には、両側に、一本の非常に大きな木があった。
彼は私に言った。
「これらの水は東の地域に流れ出て、※①アラバを下り、
海に、その苦い水を注ぎ入る。そして、その水は癒される。
さらにまた、この川が流れ行くところはどこでも、
群がる生命のあるものはすべて生き、魚は増えるであろう。
なぜなら、これらの水は流れて行き、そこの水が癒されるので、
その川が流れ行くところでは、すべてが生きるからである。
漁師達はその畔に立ち、
※②エン・ゲディからエン・エグライムまでが引き網の干場となるであろう。
その魚は種類に従って、大海の魚のようにおびただしく増えるであろう。
だが、その沼地と沢地とは癒されず、塩の採取に供される。
その川の畔には、両側の岸辺に、あらゆる果樹が生い茂る。
その葉はしぼむことなく、その実は尽きることなく、月ごとに新たな実をつける。
なぜなら、そのための水、それが聖所から出続けるからである。
その実は食用に、その葉は薬用になる。」
嗣業地および献納地
主ヤハウェはこう言った。
「これは、あなたがたがこの地を
イスラエルの12部族に嗣業として継がせる際の領域である。
ヨセフ族は2倍の割り当て。
あなた方はこれを嗣業としてそれぞれ等しく継がせなければならない。
それは、あなた方の父祖達に与えると、わたしが手を挙げて誓ったものである。
まさにこの地はあなた方の嗣業地となろう。
これは、この地の境界である。
北端では、大海から※③へトロン街道、レボ・ハマト、ツェダド、ベロト、
ダマスコの領地とハマトの領地の間にある
※④ジブライム、ハウランの領地に接するハツェル・ティコンに至る。
境界は海からハツァル・エノン、ダマスコとの北方の境界、
さらに北方、ハマトとの境界に至る。
これが北端の境界である。
東端はハウランとダマスコの間のハツァル・エノンから、
ギルアドとイスラエルの地の間、すなわちヨルダン河、
さらにその東の海に境界を伸ばし、タマルに至る。
これが東端の境界である。
南端は南方、タマルから※⑤メリバト・カデシュの水まで、
※⑥大海に向かう川までである。
これが真南の南端である。
西端は大海であり、レボ・ハマトの差し向かいまで境界を伸ばす。
これが西端である。
あなた方は、この地をイスラエルの全部族に割り当てなければならない。
その際、自分達ばかりでなく、あなた方の只中で子供をもうけ、
あなた達の只中に寄留する寄留者達にも、
この地を嗣業として割り当てなければならない。
あなた方にとって、寄留者達はイスラエルの子等の中の※⑦正規の成員と同じである。
彼等もイスラエルの部族の只中であなた方と共に
この地を嗣業として割り当てなければならない。
あなた方は、寄留者が寄留する部族において、
寄留者にその嗣業を与えなければならない。
❖補足文
(※①アラバ…「荒地」の意。ガラリヤ湖から死海を経てアカバ湾にまで通じるヨルダン渓谷の荒凉地の総称。エルサレムの東のキドロンの谷と西のヒンノムの谷は南で合流して、最終的には死海に流れ下る。死海はまたアラバの海とも呼ばれた。<申命記3:17>他。
※②エン・ゲティからエン・エグライムまで…エン・ゲティは「小山羊の泉」の意。
死海西岸の荒野のオアシスの地。エン・エグライムは、「小牛たちの泉」の意。死海東岸の地と思われるが、位置は確証されない。
※③へトロン街道、レボ・ハマト、ツェダド、ベロト…ハ・デレクを若干の異本と共にデレクと読み替える。但し、へトロンの正確な位置は不明。
原語レボに次節冒頭のハマトを結合させて読む。オロンテス川上流域の町、(ハマト入口)で、ダビデの支配はこの地域まで及んだという。<サムエル記下8:8-12>
他には<民数記34:8>のみ。ダマスコ北方約100キロのツァダドか。異論有。
<サムエル記下8:8>ではベロタイ。ダマスコとハマトの間のツォバ王国の町。
※④ジブライム、ハウランの領地に接するハッェル・ティコン…次節のハツァル・エノン、48:1のハツァル・エナンと同一か。
※⑤メリバト・ガデシュの水…原文メリボート・ガデシュ。<民数記14><申命記32:51>。メリバト(メリバの連語形)・ガデシュは<出エジプト17:7>などにその逸話が伝えられる南方の荒野のオアシス。
※⑥大海に向かう川まで…シナイ半島北部を流れて地中海まで注ぐいわゆる「エジプトの川ワディ・エル・アリーシュのこと」。ソロモン時代の南の国境。<王列記上8:65>
※⑦正規の成員…原語はエズラハ。イスラエル共同体の正規の構成員として権利と義務を負う存在。)