tekuteku-tekutekuの日記

聖書研究と陰謀論

魔術 9.

【魔術】

 

 

 『ピカトリクス』(引用)

 

  第Ⅲ書

 

 ピカトリクス第Ⅲ書ここにはじまる。ここでは諸惑星および諸星座の性質を論じる。そこでこれらの形相および形象がそれに相応しい色とともに明かされる。また諸惑星の霊と語りある方法その他、降霊術に関わる様々な議論がなされる。

 

(略)

 

 第1章

植物、動物、金属のうちに存ずる諸惑星の部分について

 

 

 1,

 前の書で図像と天の形象またそれらにかかわる事どもについて述べたので、ここでは諸形象つまり、この世の様々な相貌が天の諸形象の似姿を写すということについて語るとしよう。

まず知っておくべきことは、太陽が星座の円環にある場所から別の場所へと移動すると、それの効果が変じる、ということ。この変化は諸惑星、諸恒星の相違に準じる。

それゆえ我々が何らかの準備をするにあたり、天の諸形象が時宣にかなった作用をなす時に観察し、この効果とともに地上の事物と、天上の事物との自然本性の類同化およびこれら2つ、つまり天と地の自然本性相互の一致を理解して業を為すよう心掛けねばならない。それによって、この地上に諸天の力能が注入され、ここに求める諸霊の運動と変成が最大となる。

それゆえ図像の作用とは2様、つまり天の力能と地上の自然本性の力能とのはたらきである。この第Ⅲ書では、降霊術の図像の数々について、図像に関する知識からその卓越した用途まで、全てを語ることとする。

 

 

 2,

 ここではまず、一々の惑星がもつ効果と潜在力について、降霊術の効果と性質に準じて系統区分してみよう。

 

 

 3,

  まず、土星土星は保持する力能(記憶力)の鉱脈である。これは深い知識と法(律則)の知識の相貌をもち、事物の原因と礎、およびその効果の探求、驚くべき雄弁、深く秘匿された諸性質の知識をあらわす。

 

 ヘブル語とカルデア語の慣用語法によれば、身体外部としては右耳、身体内部としては諸器官をお互いに結び付ける憂鬱室(黒胆汁)の源である脾臓

また法の中ではユダヤ法を、布地としては黒い布のすべて、職掌としては土にかかわる耕作、掘削、鉱物の採掘および精製、建築術。

 

 味覚としては不味いもの、場所としては黒い山、暗い川岸、深い井戸、穴や人里離れた場所。また、石ではアリアザ(縞瑪瑙)、その他黒い石の全て。

 金属では鉛、鉄その他黒くて汚れを含むもの全て。

 樹木ではニワトコ、カシ、イナゴマメノキ、棕櫚(しゅろ)、葡萄。草ではクミン、ヘンルーダ、玉葱、その他全て長い葉をもつ植物。

 香草としてはアロエ、没薬等々、トウゴマやコロシントウリに似たもの。香料(油性のもの)としては肉桂と安息香。

 動物では黒駱駝(クロラクダ)、豚、猿、熊、犬、猫。鳥では鶴、駝鳥(ダチョウ)、ドゥガム、烏、長い首をもち、鳴き声の大きいもの全て。

 その他地中に育つ動物全てと湿り汚れた小さな動物全て。色としては黒いもの斑のもの全て。

 

 

 4,

 木星は成長増殖の力能の鉱脈である。これは法(律則)および合法性の相貌をもつ。知識としては司法(判断)、追求するものの闊達な会得、修復と保持(管理)。

致命的病患からの保護。また叡智、愛知、夢解釈の能力。言語としてはギリシャ語。

 外観部としては左耳。内部器官としては気質や体液を調える肝臓。法(律則)としては総合統一。布としては高貴な白。職掌としては法を制定したり矯したりする無為な仕事および明朗な交易。

 味覚としては甘さ。場所としては祈祷所や明るく清く聖なる場所全て。

 石では緑玉のその他白、黄色の石全て。水晶その他貴重で尊ばれる白く輝く石全て。金属としては錫とトッチア(酸化亜鉛)。

 樹木では胡蝶、ハシバミ、松、ピスタチオその他殻のある果実の稔る木全て。

草では白ミントその他の果実をつける香りのよいもの全て。香料としてはサフラン、黄白檀、ナツメグ、樟脳(しょうのう)、龍涎香(りゅうせんこう?)、マチュム。

 動物としては美しく均斉のとれた全ての動物で、よく生贄に供されるものおよび駱駝、鹿、カモシカのように狂暴でなく滑らかで清潔なもの。

 鳥では孔雀、鶏、山鳩、鶉(うずら)、のように美しく色鮮やかなもの全て。小動物では蚕のような役に立つもの。色としては白味がかった赤。

 

 

 5,

 火星は誘引する力能の鉱脈である。これは自然学の知識の相貌をもつ。

また外科術や獣舎での飼育、抜歯、瀉血(しゃけつ)、割礼に関わりがある。

 言語としてはペルシャ語、外部器官としては右鼻孔、内部器官としては怒りや熱が発し、憤激や闘争心を駆り立てる胆嚢。法(律則)としては異端および律則の統一を改変させるもの。

 布地としては亜麻布や兎や犬その他の皮革。職掌としては火をもってする鋳鉄や武具やら窃盗用の器具づくり。味覚としては熱、乾、苦いもの。

 場所としては城塞など防御された場所、戦場、火を熾す(おこす)場所、動物の首を切る場所、狼や熊などの野獣が集まる場所、処刑場。

 また石では紅玉髄、その他赤く黒い石の全て。金属ではアゼルネク(つまり赤アウリピグメントゥム)、硫黄、ナフタ、硝子、赤銅。

 樹木では胡椒(こしょう)、松、ヒルガオ、クミン、コチンディウム、月桂樹、タカトウダイ、ドクニンジンなどその自然本性の火のつきやすい全て。

 薬草としてはこれを燕下すると体液平衡を崩し致命傷に到るもの全て。これはその中の過剰な熱による。香料としては赤白檀。

 動物は赤駱駝その他大きな赤い歯をもつ動物全てと損害をもたらす野獣の数々。小動物としては蝮(まむし)、蠍、鼠等々、悪をなすもの。色としては赤の勝ったもの。

 

 

 6,

 太陽はこの世を支配しこの世を照らす光源であり、産生の力能の鉱脈である。

愛知、鳥占い、裁定判決に関わる相貌をもつ。言語としてはガリア語。また水星の参与によりギリシャ語とも関連する。

 外部器官としては眼、内部器官としては身体諸器官を支配する熱の泉であり、身体すべてに命を授ける心臓。

 法(律則)としては異邦の律則および諸惑星の霊の代弁者達、布では黄金を添えた高雅で貴重なもの。

 味覚としては濃厚で甘いもの。場所としては王が住まい統治する美しい大都市や、大変高貴な場所。

 石では石玉やイアルゴンザム。(瑪瑙)金属では黄金。

 樹木では高く聳える棕櫚のように背が高く美しいもの。草としてはサフラン、薔薇、また小麦やオリーヴには土星も参与している。

 薬草としてはアロエ樹、白檀、漆等々、熱性で刺激臭の薬草全て。

 獣としては人にとって大切で力強いもの。牡牛、馬、駱駝、雄羊、雌牛、その他力強い大きな動物全て。

 鳥ではアウストレス、鷹、鷲、通常王達が携えているもの。これは孔雀たちも参与し、大きな蛇をもつ。また、火星とともに熊も参与する。

 色としては赤系統および黄金のような黄色。

 

 

 7,

 金星は味覚を強化する鉱脈である。文法、韻律、楽器の響きや歌声に関わる相貌をもつ。言語としてはアラビア語

 外部器官としては右鼻孔、内部器官としては膣、精液の放出、胃。

ここから飲食の力能と味覚があらわれる。また法(律則)としてはサラセン法。布としては多彩に彩られた布。

 職掌としては描きかたちづくる全ての仕事。また香りの良い薬草の販売や楽器の響きの良い演奏、歌唱、舞踏、楽器の絃の制作。

 味覚としては美味しい甘い味。場所としては背徳的な場所、またよく人が休息したり踊ったりする場所、歌ったり楽器を奏でたりする賑やかな場所、美しい主人や婦人のいる場所、それに飲食の場所。

 石としては真珠、鉱物としては青金席やアルマルタク。

 草では香りの良い草全て。サフラン、アルヘンダム、薔薇等々。香りばかりか味も良く、見るからに心慰むもの。薬草としてはバルサム、大変香りが高いイウレブの良い殻粒、ナツメグ龍涎香

 動物では婦女達のもの。美しい駱駝、またガゼル、ペクーデス、カモシカ、兎といった美しく均斉のとれた体◯(たいく)をした動物の全て。小動物としては色とりどりの美しいもの。色としては空色とやや緑色がかった金色。

 

 

 8,

 水星(省略)

 

 

 9,

 月は諸惑星の力能を受け取り、これを世に注ぐ自然本性の鉱脈で、幾何や占術に関わる相貌をもつ。合流する水量の計測その他の知識、降霊術、医術およびこれに求められる体験、また古の知に関する造語。言語としてはドイツ語。

 人の外部器官としては左眼、内部器官としては呼吸のもとである肺。

法(律則)としては偶像や図像への祈願。

 布地としては皮革や敷き布。職掌としては鑢(やすり)研磨や、皮鞣し(なめし)、貨幣鋳造、航海。味としては水のように味のしないもの。

 石では小さな真珠。金属では銀や白色を呈するもの。草木としては菖蒲(しょうぶ)、葦、等々白くて香り良い草木の全て、また、土から生じるもので足元の覚束ないもの全て。背の低い草、キャベツ、また牧草の全て。

 場所としては泉、湖、沼、雪の積もった場所や水の溜まった場所。香草としては施療薬として供される肉桂、生姜、胡椒等々。

 動物としては、赤牛、ラバ、ロバ、雌牛、兎。鳥では動きの俊敏なもの全て。また気中に生まれたそこに棲む動物の全て。それに白い水鳥。

 色としては白および黄と赤の組み合わせからなる様々な色。

 

 

 10,

 (省略)

 

 

 

 

 ◆補足文

(この第Ⅲ書の第1章の説明を読んでいて気付いたというか、思い出される名前は、

スイス出身で医師であり、化学者、錬金術師であり、神秘思想家のパラケルスス(1493ー1541年)です。彼は悪魔使いでもあったという伝承もある人物で、ウイキペディアでも、彼の医学においては、西洋医学の基本概念であった四体液説に反対し、人間の肉体に対する天の星辰の影響を認める医療占星術の流れを汲んで、独自の原理に基づく治療法、診断法を唱えた。とあります。

 彼は錬金術の研究から、水銀、アンチモン、鉛、銅、砒素などの金属の化合物を初めて医薬品として採用した人物としても知られています。

 

 パラケルススの生い立ちの部分では、彼の父親も放浪の医師であったことや、父のヴ

ルヘルムが市医だけでなく、鉱物学校の講師として勤めながら、パラケルススに自然哲学や医学、化学を教えていた事と、少年時代を鉱山学校で過ごしていたために、金属やこう夫、それに関する病に関心を示していたことが「鉱物」と「医術」が結びついたきっかけになったのは理解できます。しかし、パラケルススについて何より注目すべきなのはそこではなく、ドイツの修道院隠秘学者であった、ヨハンネス・トリテミウスの元で魔術の理論を学んでいたということです

 

 この、彼の恩師であるヨハンネスは、ドイツの修道院の院長であり、魔女の妖術を表向きには強く非難していながら、実際は降霊術を能する魔術師としていくつかの逸話が流布されていた人物でした。彼はしかもというか、やっぱりの、カトリックのベネディクト派(現在も活動する最古のカトリック修道会)に属していました。

このベネディクト派が、最初に錬金術を行い、怪しげな「薬」を製造し町に売っていたことも判明しています。その薬の販売が当時彼等の貴重な収入源だったわけです。

と、いうことは、カトリックは今更ですが、このパラケルスス悪魔崇拝者であったという事は疑いようのない話になってくるわけですね。)