tekuteku-tekutekuの日記

聖書研究と陰謀論

聖書外典偽典(旧約偽典)『エノク書』16

 

旧約偽典『エノク書

 

 

 

 第81章

 

 

 

 彼は私に言った。

「エノクよ、天の板に書いてあることをよく見るがよい。そこに書き付けてあるのを読んで、一つ一つよく悟るがよい。」

 

 私は天の板を全部観察し、書いてあることを全部読み、全部理解し、その板、そこに書いてある一切のこと、人間と地上に住む全ての肉の子の行為を、未来永劫まで読み取った。

それから直ちに私は主、永遠の王を、世界の全てのものを造られた方として褒め称え、主をその寛容故に賛美し、この世の子等のことについて彼を褒め称えた。

 

 その時私は言った。

「幸いなるかな、義人または善人として死に赴き、不義を責めることを書かれたことがなく、咎を見出されない人。」

 

 あの3人の聖者が私を連れて行って、地上にある自宅の門前に坐らせてこう言った。

「君の子メトセラに何もかも知らせるがよい。君の子等が皆に、主は彼等の創造者であられるが故に、彼の前には肉なる者は義人とは認めてもらえないのだという事を示すのだ。

 1年間、君の子等のもとでゆっくりさせてやろう。その間に遺言をし、子供達に教え、書いてやり、君の子供達全部に証言するがよかろう。

2年目には君を連れに来るから、彼等とは別れるのだ。気をしっかり持つのだ。

善人は善人に義を告げ、義人は義人と共に喜び、互いに挨拶を交わすであろう。

罪人は罪人と共に死に、背教者は背教者と共に溺れる。

義を行う者は人間の行為の故に死に、悪人の行為故にこの世から絶たれる。」

 

 その頃、彼等は私と語り終え、私は世界の主を褒め称えながら、私の一族のもとを訪ねた。

 

 

 

 第82章

 

 

 さて、我が子メトセラよ、これら全てのことを私はお前に語り、お前のために書き記し、お前に一切のことを啓示し、これら全てに関する書物をここに授ける。

我が子メトセラよ、お前の父の手ずから書かれた書き物をしかと保存し、代々引き継いでゆくのだぞ。

 

 私は君と君の子等と、これから生まれてくるであろう君の子等に知恵を授けた。

これは彼等が代々いつまでも引き継いでゆくものである。

即ち、彼等の思いも及ばないこの知恵を。これを悟る者は眠りを忘れてこの知恵を学ばんものと耳を傾け、これを口にする者にはどんな馳走よりも喜ばれる。

 

 幸いなるかな、全て義なる者。正しい道を歩み、太陽がこの等級の星1000の頭と共に、足し加えられて、それらを導き、それらと共に4日間没するところの4つと共に天を運行し、30日間門から出入りするその全期間の計算を、罪人のように間違えない人は幸いである。これが為に人は誤ち、1年全体を計算する時にそれを勘定にいれず、人はこれを見誤り、正確に認識できない。

 

 これは1年の数の中に入っており、事実、永遠にしかと刻み込まれている。

第1の門に一つ、第3の門に一つ、第4の門に一つ、第6の門に一つ。

1年は364日で満ちる。その教えは確かで、刻み込まれたその計算は正確である。

 

 ウリエルは私に発光体、月、祭り、年及び日を見せてくれ、吹き込んでくれた。

世界の全被造物の主が軍勢に関して私の為に彼に命じておかれたのである。

彼は天上にあって夜と昼を管理しており、太陽、月、星及び全ての球体をなして回転している天の力、天体の光が人間の上に現れるように図っている。

 

 以下にあげるのがその定まった場所に、定まった時に、定まった日に、定まった月に没する星に関する定めである。

 

 以下にあげるのが、定まった時に、定まった順序で、定まった季節に、定まった月に、定まった支配期間に、定まった場所にきちんと入るものを導くものの名である。

 

 彼等を導く4つのものが最初に入る。これは1年の4区分を区切るものである。

続いて月と年を364日に区切るところの順序をつける12の指導的な星が、日を分かった1000の頭と共に入る。それに付け足される4つの閏日には1年の4区分を分かつものが指導者となる。この1000の頭だが、一つはその位置の後ろに、指導者と指導されるものの間に加えられ、その指導者が区分を設ける。

 

 順を追った1年の4区分を区別する指導者の名は次の通りである。

メルケエル、ヘルエムメレク、メルエヤル及びナレル。

それらを導くものの名はアドナルエル、イヤスサエル、イェルミエルで、この3者は配置の指導者に従う者であり、一つは1年の4区分を仕切るところの例の位置の指導者のあとに従う3つの配置の指導者の後ろに従う。

 

 年のはじめにまず第一にメルケエルが昇って治める。

これはその名を南の太陽という。その支配下にあってこれが治める期間は合計91日ある。それの支配期間中に地上で現れる徴は次の通りである。

汗、熱、静けさ。全ての木は実を結び、どの木にも葉が生えいで、小麦の取り入れ、薔薇の花、野にはありとあらゆる花が咲き乱れ、冬は木は干からびる。

 

 その配下にあるところの指導者の名は次の通り。

ベルケエル、ザレブサエル、それともう一つ付け加えるもので1000の頭、ヘロヤセフという名のもの。これでその支配期間は終わる。

 

 これに続く第2の指導者はヘルエムメレクで、その名を輝く太陽ともいい、その光の期間は合計91日。この期間の地上における徴は以下の通り。

炎熱、乾燥、木は熟れきった実をみのらせ、その実をならせ、それは乾き、羊は互いに交わって孕み、地の実、畑にある全てのものは全て取り入れられる。

それに酒船。これらはその支配期間中に行われる。

 

 以下にあげるのはこれが配下にある1000の頭の配置、指導者達の名である。

ゲダエル、ケエル、ヘエル。

これに付け加えられる1000の頭の名はアスファエル。

これでその支配期間は終わる。

 

 

 

 

 第83章

 

 

 さて、我が子メトセラよ、私が見た全ての幻をお前に見せ、お前の前で語るとしよう。私は、妻を迎える以前に2つの幻を見たが、互いに似ても似つかぬものだった。

 

 最初に私が字を習った時で、次は君の母さんと一緒になる前に物凄い幻を見た。

私はこれらについて主に懇願した。私は祖父マラルエルの家で横になっていたが、

その時幻で、天が崩れ、バラバラに千切れて地上に落ちてくるのを見た。

天が地上に落下してきた時、地は巨大な裂け目に飲み込まれ、山々はぶつかり合い、

丘は互いにめり込み、亭々たる樹が根こそぎ吹っ飛んでその亀裂の底に沈むのを私は見た。

 

 その時、私の口に言葉が落ちてきて、私は叫び出し、「地が滅びた」と言った。

私の祖父マラルエルは、傍に横になっている私を起こして言った。

「我が子よ、何をそんなに叫んでいるのだ。なんでそんな悲しいことを言うのだ。」

 

 私が見た幻について彼に何もかも話したところ、彼は私に言った。

「我が子よ、お前が見たものは大変なことだ。お前の夢の幻は地の全ての罪の秘密に関わることだ。地はやがて亀裂の中に沈み、完全に滅びる運命にある。さて、我が子よ、立って栄光の主に乞い願うがよい。お前は信心深い。地上に一部生き残らせてもらい、全地を滅ぼされることのないように。我が子よ、これは全て天から地上に臨み、地上には甚だしい破滅が臨むであろう。」

 

 そこで私は立って祈り、懇願し、私の祈りを未来の世代のために書き留めた。

我が子メトセラよ、私はお前に何もかも示そう。私は下の方へ出て空を見上げ、太陽が東から出て、月が西に没するところや、その他いくつかの星及び彼が最初に認めたものなどを見た時、私は裁きの主を褒め称え、太陽を東の窓から出して天の面に昇らせ、立って定められた径を運行させられる彼を崇めた。

 

 

 

 第84章

 

 

 私は義をもって手を挙げ、聖にして大いなるお方を誉め称え、口と息と肉の舌で語った。これは、それを用いて語れるようにと神が人の子等に造ってくださったものである。また、それを用いて語れるように息と口をも彼等に授けられた。

 

 あなたはほむべきお方。主よ、王よ、その大いさにおいて力ある方、全ての天の創造の主よ、王の王、全世界の神、あなたの支配と王権と大いさは永久に続き、あなたの権威は代々に限りなく、天はいずこも永遠にあなたの王座、全地は永久にあなたの足台。

 

 あなたが造られ、全てをあなたが治め、何一つとしてあなたの手におえないこととてなく、知恵であなたの目につかぬものは一つもなく、その座、即ちあなたの王座をそれることはなく、あなたの顔をそれることもなく、あなたは全てを知り、見聞きし、何もかも見通されるあなたから隠れていられるものはない。

 

 さて、あなたの天使達は過ちを犯し、あなたの怒りは、大いなる裁きの日まで人の肉に臨むであろう。

 

 さて、神よ、主よ、大いなる王よ、私はあなたに折入ってお願いがあります。どうぞ私の願いをいれて。私のために地上に子孫を生き残らせて、人の肉をすっかり末梢せず、地を裸にして永久の破滅にならないようにしてください。

 

 今、我が主よ、あなたの怒りを引き起こした肉を地上から抹殺して下さい。

しかし、義と公正の肉は永遠の種の木として立てて下さい。

主よ、あなたの御顔をあなたの僕の願いから背けないで下さい。」

 

 

 

 第85~87章(略)

 

 

 

◆補足文

「村岡宗光・エチオピアエノク書概説」より、説明が重複してしまうかもしれませんが、第58~69章は、義人および選民達にそなえられてある至福について、稲妻と雷鳴の秘密について、また、メシアによって行われる裁きについて語っています。

第70~71章は昇天し、人の子として任ぜられたエノクについて述べ、第72章~82章は天文学、および暦法に関する教説であり、これは天使ウリエルによって啓示されたものです。第83~90章は歴史的考察、第83~84章で、ノアは堕落した地上に大洪水が起こるであろうことを幻を通して知り、人類が全滅しないように祈る。

続いて第85~90章では、最初のアダムからメシア時代までのイスラエル全史が、牛、羊、牧者、その他の悪しき動物になぞらえて物語れる。と説明されています。

今書いています箇所は第72~82章の「天門の書」です。第83~90章は「夢幻の書」となっています。

 

 ※天が崩れ地上にバラバラに千切れて地上に落ちてくるのを見た。という部分の通り、神は地球を創造された時に、天に天蓋(天幕・テント)を張られました。ネット上でも「天蓋」については色んな説がされているようですが、どんな要素でその天蓋が造られているかは分かりません。聖書では天について<創世記1章、イザヤ40:22、詩編19:4他>等、いくつか書かれています。聖書の「天」とは、つまり私達が現在「宇宙」と呼んでいるところの事ですが、このは、それが全て壊れて地上に落ちてくる天変地異が起きることを告げています。あまりにも恐ろしい、想像もできないことですが、<啓示6:12~14>にも次のように書かれています。「第6の封印を開いた時に見ると、大きな地震が起こった。そして、太陽は毛の粗布のように黒くなり、月は全体が血のように赤くなった。そして、いちじくの木が激しい風に揺り動かされて、その熟していない実を投げ落とす時のように、天が去って行き、全ての山と島がその場所から取り除かれた。」とあります。<ペテロ第二3:10>にも「ヤハウェの日は、盗人のように来ます。その時天は鋭い音と共に過ぎ去り、諸要素は極度に熱して溶解し、地とその中の業とは露わにされるでしょう。……しかし、神の約束によって私達の待ち望んでいる新しい天と地があります。そこには義が宿ります。」とあります。)