『 エゼキエル書 』
今回から、前回に申しました通り、『エゼキエル書』の紹介をしていきたいと思います。全編を紹介することは難しいので、またかいつまんで紹介させてくださいませ。
『エゼキエル書』については、聖書に興味のある方は説明をしなくても知っておられると思いますが、聖書の預言書においては、「ヨハネの黙示録」・「イザヤ書」・「ダニエル書」などに並ぶ有名な預言書であり、人気もある書となります。
・解説より(一部抜粋)
エゼキエルは、ユダ王国が滅亡し、その指導者や職人達がバビロニアに連行された捕囚時代、捕囚民の間に活動した預言者である。
前608年、それはエゼキエル召命の15年前であった。
親バビロニア政策をとった王国のヨシヤ王が北上するエジプトとの軍隊を迎え撃とうとして、逆にメギドにおいて憤死した。
ファラオ・ネコはヨシヤの後継者イェホアハズを幽閉し、その兄イェホヤキムをユダの王位に就けた・それに対して、バビロニア王ネブカドレッァル、旧約聖書ではネブカドネッアルと2通り表記されるが、後者が原音ナブ・クドゥリ・ウツルに近く、エゼキエル書も後者で通す。
も、積極的な西方政策を展開する。その結果、イェホキヤムはバビロニア軍による攻撃のさなかに没し、その子イェホヤキンは、在位3か月にして、臣下共々バビロニアに連行されたのである。
これが第一回バビロニア捕囚である。
第1章
ャハウェの顕現
第30年、4月5日、私が※①ケバル河畔の捕囚民のただ中にいた時のことである。
天が開き、私は神々しい幻を見た。
王イェホヤキンの捕囚の第5年目、その月の5日、
ャハウェの言葉がカルデア人の地、ケバル河畔で、
祭司ブジの子エゼキエルに臨み、ャハウェの手がそこで彼の上に臨んだ。
私が見ると、なんと北から激しい風が起こり、
大きな雲ときらめく火とそれを取り囲む光輝があり、
その中に琥珀のきらめきのようなものが、その火の中にあった。
またその中に、4つの生き物の形象があり、それらの形姿の中に人の形象があった。
彼等には各々4つの顔があり、4つの翼があった。
彼等の足は真っ直ぐな足、その足の裏は仔牛の足の裏のよう、
光る青銅のきらめきのようであった。
また、その翼の下からは人間の手が各々4つの生き物の四方に伸び、
彼等の顔も翼もそれぞれ四方に向いていた。
その翼は互いに触れあい、彼等が進むとそれることなく、それぞれ前方に進んだ。
彼等の顔の形象は人間の顔であり、
4つとも右には獅子の顔、
4つとも左には雄牛の顔、
4つとも後ろには鷲の顔があった。
また彼等の顔と彼等の翼は、それぞれ上に広がり、
一対が互いに触れあい、もう一対が彼等の四肢を覆っていた。
彼等はそれぞれ前方に進んだ。
霊が進もうとする方向に進み、進む時には、それることがなかった。
その生き物たちの間に、燃え盛る炭火のような形姿があった。
生き物の間を行き来する松明の形姿のようであった。
火には光輝があり、火から稲妻が発していた。
生き物達は、閃光の形姿にも似て、走り出てはまた戻るのであった。
私が生き物を見ると、何と、
4つの顔の生き物の傍らの地面に、各々1つの車輪があった。
これ等の車輪の形姿とその造りはタルシシュのきらめきのようで、
4つとも同一形象であった。
これらの形姿とその造りは車輪の中に車輪があるかのようであった。
これらは進む時には四方向に進み、進む時、それることがなかった。
それらの外輪、そこには光輝と畏怖があった。
その外輪は4つとも。前面を隈どる数々の眼に満ちていた。
生き物が進むと、これらの車輪が傍らを進んだ。
生き物が地上から引き上げられると、車輪も引き上げられた。
霊が進もうとする方向にそれらは進み、
霊が進もうとする方に車輪もつられて引き上げられた。
各々の生き物の霊が車輪に宿っていたからである。
彼等が進むと、それらも進み、彼等が立ち止まるとそれらも止まった。
彼等が地上から引き上げられると、車輪もつられて引き上げられた。
各々の生き物の霊が車輪に宿っていたからである。
生き物の頭上の形象は天蓋であり、
その恐るべき様は水晶のきらめきのようであった。
彼等の頭上にそれは高く伸びていた。
天蓋の下では、彼等の翼が互いに向かいあって真っすぐに伸び、
一対が互いに触れあい、もう一対が彼等の四肢を覆っていた。
そして、彼等が進む時、私は大水の轟きのような、
※②シャッダイの声のような、彼等の翼の音を聞いた。
陣営のどよめきのような群勢の声であった。
彼等が立ち止まると、その翼は静まった。
彼等の頭上、天蓋の上から音がした。
彼等が立ち止まるとその翼は静まった。
また、彼等の頭上にある天蓋の上には、
玉座の形象の上には、人間の形姿に似た一つの形象がひときわ高くその上にあった。
そして私は、その腰に見える部分から上に、
琥珀のきらめきのような、家を取り囲む火の形姿のようなものを見た。
また、その腰に見える部分から下には火の形姿に似たものを、
またそれを取り囲む光輝を見た。
それを取り囲む光輝の形姿は、
雨の日、雲間に現れる虹の形姿のよう、そのようであった。
これこそはャハウェの栄光の形象であった。
私はこれを見て、ひれ伏し、語る声を聞いた。
❖補足文
(※①ケバル河畔…バビロニア側資料によれば、西方からの捕囚民はニップル付近に住まわされていた。ケバル川はその付近の運河の名のひとつ。
※②シャッダイ…70人訳以来「全能の神」と訳されるが、原意は不明。
この第1章の解説はあまりされておりません。なので、このャハウェの顕現の生き物については、第10章にて少し明かされるというか、解説されております。)
今回も多忙につき、1章ずつの少なめにゆっくりで進めてまいりますので、
よろしくおつきあい下さいませ。