tekuteku-tekutekuの日記

聖書研究と陰謀論

エゼキエル書 12.

エゼキエル書

 

 

 

 

 第15章

 

 

 

 役に立たない葡萄の木

 

 ャハウェの言葉が私に臨んで言った。

 

 「人の子よ、葡萄の木は、林の木々の間のどんな蔓木(つるき)に勝ると言うのか。何かを造るための木材がそれから取れるだろうか。

どんな器物も掛けられるような杭を人々はそれから取るだろうか。

そう、それが燃料として火にくべられた時、火がその両端を燃やし尽くし、芯まで焦げてしまうではないか。それが何かに役に立つのか。

そう、それがまだ完全なときでさえ、何にも加工出来ないとするならば、まして、火がそれを燃やし、それが焦げてしまえば、一体何に加工出来ると言うのか。」

 

 それゆえ、主ャハウェはこう言った。

 

 「わたしが燃料として火にくべた、林の木々の間の葡萄の木のように、

わたしはエルサレムの住民達を火にくべる。

わたしがわが顔を彼等に向けるので、彼等が火から流れ出て来ても、

火は更に彼等を燃やし尽くすであろう。

こうして、わたしがわが顔を彼等に向ける時、お前達は知るであろう。

わたしがャハウェであると。

わたしはこの地を荒廃に委ねる。彼等が不実をはたらいたからである。」

 

 とは、主ャハウェの御告げ。

 

 

 

 

 第16章

 

 

 

 不実な妻エルサレム

 

 ャハウェの言葉が私に臨んで言った。

 

 「人の子よ、エルサレムに彼女の忌まわし行為を知らせよ。

そして言うがよい。主ャハウェがこう言ったと。

 

 『お前の出身、お前の出生は※①カナアンの地、お前の父はアモリ人、お前の母はヘト人である

お前の出生については、お前の誕生の日、お前の臍(へそ)の緒は切られなかった。

お前は水で洗い清められることもなく、塩で塗られることもなく、布でくるまれることもなかった。

お前を思いやって、これらの一つでも行おうと、お前に目をかける者もいなかった。

お前の誕生の日、お前の命が嫌われる中、お前は野の面に投げ棄てられた。

 

 わたしは、お前の傍らを通り、血塗れになってもがくお前を見て、血塗れのお前に言った。「生きよ。」と。血塗れのお前に言った。「生きよ。」と。

野の若草のように、わたしはお前を繁茂させた。

お前は生育し、成長した。思春期を迎え、乳房はしっかりとし、髪は豊かに伸びた。

お前はなおも剥き出しの裸であった。

 

 わたしはお前の傍らを通り、お前を見た。

すると、お前は愛される年頃になっていた。

わたしはわが衣と裾をお前の上に広げ、お前の裸を覆った。

そして、お前に誓いを立てて、※②お前との契約(関係)に入った。

こうして、お前はわがものとなった。

 

 わたしはお前を水で洗い清め、お前の上から血を流し去り、お前に油を塗った。

お前に文錦(あやにしき)を着せ、※③タハシュの革の履物を履かせ、上亜麻をまとわせ、お前を細布で覆った。

わたしは、また、お前を飾り物で飾り、手に腕輪を、首に首飾りを与えた。

また、お前の鼻に鼻輪を、耳に耳飾りを、頭には輝きの冠を与えた。

こうして、お前は金と銀で身を飾り、その衣装は上亜麻と細布と文錦であった。

お前は小麦粉と蜂蜜と油を食し、たいそう美しくなり、王位に上りつめた。

美しさゆえに、お前は諸国民の間で名声を得た。

わたしがお前の上に据えたわが壮麗さによって、お前の美しさは完全であったからである。

 

 だが、お前は自分の美しさに信頼し、自分の名声につられて※④姦通した。

お前は行きずりの者にはすべて、彼にあれ、と言って、姦通の業を降り注いだ。

お前は自分の上着を取って、斑模様の高台をしつらえ、入って来る女性達もいないし、夫もいない、と言ってその上で姦通した。

お前はわたしが与えた金と銀の飾り物を取って、※⑤数々の男の像を自ら造り、それらと姦通した。

 

 また、お前の綾織りの上着を取って、それらの像を覆い、わが油と薫香をそれらの前に供えた。

また、わたしがお前に与えたパン、わたしがお前に食べさせた小麦粉と油と蜜、それらを宥めの薫香として、お前はそれらの前に供えた。すると、そうなった。

 

 お前は※⑥わたしに生んだ自分の息子と娘を取って、それらを食物としてこれを犠牲にした。

お前の姦通はそれでもまだ足りないのか。

※⑦お前は我が子等を屠って(*つまり異教の神々の像に)これを供え、それらのために火の中をくぐらせた。

お前は、お前の忌まわしい行為と姦通のすべてを注ぎこそすれ、お前が剥き出しの裸であって、自分の血の中でもがいていた時の若い日々を思い起こさなかった。」

 

 

 

 

❖補足文

※①お前の出生はカナアンの地、~お前の母はヘト人である。…「カナアン」は古くは紫染料を意味するアッカド語キナフに通じるギリシャ語ではポイニケス→ポイニキア=フェニキア。ここでは、イスラエル成立前のパレスチナ全域の総称。<創世記3:5-6参照>。

 「アモリ人」はアッカド語のアムルに由来。元来、シリア地方の北西セム語系原語を話す遊牧部族。ここでは、ダビデによる征服以前のエルサレムの王のひとり、アド二・ッェデクが「山地に住むアモリ人の王達」の一人に数えられた。伝承<ヨシア10:1以下>を踏まえている。イスラエル成立前の「カナンの地」の住民を「アモリ人」に代表される伝承もある。

 「ヘト人」は前2千年紀中頃にアナトリアに帝国を築いたヒッタイト人。

前13世紀にはカルケミシュを中心にシリアに進出。旧約聖書はカナン先住民に数える。<創世記15:20>。ダビデに妻バト・シェバを奪われたウリヤ(エルサレム出身か)もまた、ヘト人であった。3節はこうした古い伝承を踏まえた発言。

※②お前との契約イスラエルを含め、古代西アジアでは、結婚は契約であった。ハンムラビ法典128条「人が妻を娶っても、契約を交わさなければその婦人は妻ではない

。」

※③タハシュ…タハシュはアラビア語トゥハスとの類音から、海豚の一種と解されてきた。正確な意味は不明。その革は、天幕聖所や聖具に用いられた。

※④姦通した。…原語「ザーナー」。ここではエルサレムの異教崇拝が「姦通」として糾弾される。

※⑤数々の男の像…バアルなどの神像、もしくは豊饒祭儀用の男根像。

※⑥わたしに生んだ自分の息子と娘を取って…神ャハウェとイスラエルの民の関係を夫妻のそれになぞらえたことを受けて、民の「息子や娘」をャハウェとイスラエルとの間に生まれた子等と呼ぶ。

※⑦お前は我が子を屠って、これに供え~火の中をくぐらせた。…火をくぐらせて子供を献げる宗教祭儀がエルサレムで行われていた、と旧約聖書は繰り返し伝える。<レビ記18:21・申命記13:31・王列記・下16:3・エレミヤ32:35他>

但し、その祭儀の実態については不明な点も少なくない。

 

 ✤火の中をくぐらせる、もしくは焚火を地面に道のように敷き詰めた上を渡らせるなどした祭儀は、仏教や密教などでも現在でも結構行われております。その目的としては、僧の修行(荒行)のためとか、もしくは「子供の健康」を願ってとか、「災難から身を守る」ためだとか、火を渡り切れば「長寿」が叶うとか、様々な理由をつけて行われています。偶像崇拝にはつきものということですね。)

 

 

 

 

 諸大国との「姦通」

 

 「お前のあらゆる※⑧悪事の後、禍いあれ、お前に禍いあれ。

お前は自ら台座を築き、あらゆる広場に自ら高座を造った。

お前はあらゆる街角にお前の高座を築き、お前の美しさを忌まわしいものとした。

お前は誰であれ、行きずりの者に脚を広げ、姦通を重ねた。

お前は大柄な隣国人であるエジプトの息子達と姦通し、姦通を重ねてわたしを苛立たせた。

そこで、わたしはお前の上に手を伸ばし、お前の要求を斥けた。

わたしはお前を、お前を憎むペリシテ人の娘達の意のままにした。

彼女達はお前の歩み、淫らな行為に恥じ入っている。

それでもお前は満足せず、アッシリアの息子達と姦通した。

彼等と姦通して、なお、満足しなかった。

そこでお前は商業の国カルデアと姦通を重ねたが、それでもなお、満足しなかった。

お前の心はどんな熱に冒されてしまったのか。」

 

 とは、主ャハウェの御告げ。

 

 「お前は、これら、大娼婦の行為の全てを行っても、あらゆる街角に自ら台座(*売春館)を築き、あらゆる広場に自ら高座を造っても、娼婦とは異なり報酬を侮った。

夫に隠れて姦通する妻は異国の男達と情を交わす。

すべて娼婦には男達が報酬を与えるものだ。

ところが、お前はお前の愛人達すべてに、お前の方から贈物を贈った。

お前が彼等に贈物をしたのは、彼等がお前との姦通を求めて周囲からお前のところに来るためだ。姦通において、お前は他の女達とは逆であった。

お前を求めて姦通がなされたのではない。お前が報酬を支払ったのであり、お前に報酬が支払われたのではなかった。こうしてお前は倒錯した。」

 

 

 

 ❖補足文

※⑧悪事の後…ここまでは、エルサレムにおける異教祭儀批判。以下、エルサレム指導者達による大国依存の外交政策批判。大国迎合的外交政策も「姦通」になぞらえられる。)

 

 

 

 「娼婦」エルサレムの恥辱

 

 それゆえ、娼婦よ。ャハウェの言葉を聞け。

 主ャハウェはこう言った。

 

 「お前の愛人との、またお前のあらゆる忌まわしい偶像との姦通において、

お前の精力が注がれ、お前の裸が露わにされたがゆえに、

また、お前がそれらに供えたお前の息子達の血ゆえに、

それゆえ、見よ、私はお前が嫌った者すべてに加え、

お前のお気に入れの愛人達を、お前が愛した者達すべてを、集める。

わたしは周囲からお前のところに彼等を集め、お前の(*悪)を彼等に晒す。

彼等はお前の裸を隈なく眺めるであろう。

わたしは姦通する女達の審きと血の審きをもってお前を審き、

お前を憤怒と嫉妬の血に渡す。わたしはお前を彼等の手に渡すので、

彼等はお前の台座を引き倒し、お前の高座は壊されよう。

彼等はまたお前から上着を剥ぎ取り、お前の飾り物を奪い取って、

お前を剥き出しの裸のまま置き去りにしよう。

 

 彼等はお前のところに会衆を上らせ、お前を石撃ちにし、剣で切り刻むあろう。

また、彼等はお前の家々を火で焼き払い、多くの女達の眼前で、お前に審きを行うであろう。

こうして、わたしはお前に姦通を止めさせる。

もはや、お前が報酬を支払うことはなくなろう。

わたしはお前に対する憤怒を鎮め、わが嫉妬はお前から離れる。

わたしは鎮まってもはや自らを怒らせることはない。

お前が自分の若い時代を思い起こさず、

これらすべてのことをもってわたしを激昂させたがゆえに、

わたしもまた、見よ、お前の歩みをお前の頭上に返したのである。

 

 お前はあらゆる忌まわしい行為に加えて、淫らな行為を行わなっかったか。

見よ、お前を諺にする者は誰でも諺として口にするであろう。

『この母にして、この娘。』と。

お前は夫と息子を忌み嫌う母の娘、お前は夫と息子を忌み嫌う姉妹達の姉妹である。

お前達の母はヘト人、お前達の父はアモリ人であった。

また、お前の姉は※⑨サマリアであり、彼女とその娘達はお前の北に住んでいた。

お前の南に住んでいるお前の妹は※⑩ソドムとその娘達であった。

お前は彼女達の道に歩み、その忌まわしい行為に習わなかったのか。

ほんのしばらくして、お前はその歩みにおいて彼女達にもまして堕落した。

 

 わたしにかけて言うが、お前の姉妹ソドムとその娘等でさえも、

お前とお前の娘等が行ったようなことまでは行わなかった。

見よ、お前の姉妹ソドムの咎はこれである。

驕慢(きょうまん)と飽食の安閑が彼女とその娘等にあっても、

彼女は苦しむ者と貧しい者を扶助しなかった。

彼女等は高ぶり、わが前で忌まわしい行為を行った。

そこでわたしは、お前が見た通り、彼女等を斥けたのである。

 

 また、サマリアは、お前の罪の半分ほども罪を犯さなかった。

お前は彼女達にもまして自分の忌まわしい行為を重ね、お前が行ったあらゆる忌まわしい行為のゆえに、※⑪お前はお前の姉妹を義しい者とした。

お前がお前の姉妹に突き付けたお前の恥辱は、お前自らが負え。

彼女達にもましてお前が犯した忌まわしい罪ゆえに、

彼女達はお前より義しいとされるであろう。

 

 お前は自ら恥よ。

そして、お前がお前の姉妹を義しい者としたがゆえに、お前の恥辱はお前自らが負え。

 

 わたしは彼女達の命運、ソドムとその娘達の運命、

サマリアとその娘達の命運を転じる。そして、お前達の命運を彼女達の只中で転じる。

それは、彼女達を慰めるために行った※⑫お前のあらゆる行いゆえに

お前自らが恥辱を負い、お前自らが恥辱を受けるためである。

お前の姉妹達、ソドムとその娘達もその以前の姿に戻り、

サマリアとその娘達はその以前の姿に戻るであろう。

お前とお前の娘達も、以前の姿に戻るであろう。

お前が驕慢であった日、お前の姉妹ソドムは噂としてさえお前の※⑬口に上らなかった。それは、お前の悪事が露わにされる前であった。

今は、彼女と同じく、お前はアラムの娘達とその周囲すべての女達、

またペリシテ人の娘達の嘲笑の家となった。

彼女達は周囲からお前を侮っている。

お前の淫らの行為と忌まわしい行為、これらの結果をお前は負ったのである。』

 

 とは主ャハウェの御告げ。

 

 実に主ャハウェはこう言った。

 

 「お前が行ったように、わたしもお前に行なう。

お前が誓いを軽んじ、契約を破ったからである。

だが、わたしはお前の若い時代に結んだお前との契約を想い起こし、※⑭永遠の契約を立てる。

そこで、お前は自らの歩みを想い起こし、お前がお前の妹に加えて姉を受け入れる中で、お前は恥辱を受けるであろう。

わたしは彼女達をお前に娘として与えるが、それはお前との契約によるのではない。

わたしの方から新たにお前と契約を立てるのである。

こうして、お前は知るであろう。わたしがャハウェであると。

それは、お前が自分の歩みを想い起こし、恥じ入るためである。

わたしがお前に行ったすべてのことについてお前の罪を除く時、

お前は恥辱ゆえにもはや口を開くことはない。」

 

 

 とは主ャハウェの御告げ。

 

 

 

 

❖補足文

※⑨サマリア…南ユダの主都エルサレムに対し、北イスラエルの主都。前722年にアッシリアにより滅ぼされる。

※⑩ソドム…伝説的な悪徳の町。<創世記19:1以下参照。イザヤ1:10>も。

※⑪お前はお前の~義しい者とした。…お前の姉妹が義しく見えるほどに、お前の忌まわしい行為は酷かった、という意味。

※⑫お前のあらゆる行いゆえに…お前のあまりに忌まわしい行為が相対的に「彼女達」を義しくする結果となった。という強烈な皮肉。

※⑬口に上らなかった。…字義通りには「ソドムはお前の口で噂にさえならなかった。」ソドムの破滅を他山の石としなかったということ。但し、全体を修辞疑問文と解すれば「…ならなかったか。」

※⑭永遠の契約…「永遠の契約」は他にノアの契約<創9:16>、アブラハム契約<創17:7>、シナイ契約<出エジプト31:16>、ダビデ契約<サムエル記23:5他>、アロン契約<レビ記24:8他>など。「契約を立てる」とは、「契約」を与える側の主導権とその確かさを強調した表現。)