tekuteku-tekutekuの日記

聖書研究と陰謀論

悪魔を愛した者達 6.

『悪魔を愛した者達』

 

 

 その他の神々。 

 

■ アスモデウス

 

 「図解・旧約聖書」より

 

 アスモダイ、もしくはアスモデウスは、旧約聖書外典の『トビト記』に登場する悪魔である。メディアの地に住むラグエルの娘サラに取り憑き、彼女の夫となるはずの男達を新婚初夜に殺して回った。その数は7人に及び、サラは日々神に祈り涙にくれる生活を送ることとなる。そんな彼女を救ったのが、人間に身をやつしたラファエルに守られた青年トビアだった。彼はラファエルの勧めでサラを娶ることにするが、悪魔への恐れは拭えない。怯えるトビアに魚の肝臓と心臓、胆嚢を焼いた悪臭でアスモダイを追い払うことを教えた。無事アスモダイを追い払い、アスモダイはエジプトでラファエルに捕らえられた。

 

 ユダヤの伝承では、アスモダイはリリスの夫や息子、時にはアダムとエバを誘惑した蛇とも考えられていた。アスモダイがソロモン王と契約したという伝承もある。

ソロモンはミカエルから与えれた魔法の指輪でアスモダイを始めとする悪魔達を従え、エルサレムの神殿を造り上げたのだという。もっとも、アスモダイ自身は、こうした扱いには納得しかねていた。

別の伝承では、アスモダイはソロモンを騙して、自分を縛り付けている指輪を手に入れるとそれを海に投げ捨ててしまう。そしてソロモンを追放すると彼に変身してイスラエルを統治している。ソロモンは長い放浪の末に魚が飲み込んだ指輪を発見するとエルサレムに帰還。今度はアスモダイが彼に封印され追放されることとなった。

 

 なお後の悪魔学ではアスモダイは7つの大罪のうち「色欲」を象徴するとされ、人、雄牛、雄羊の頭と鷲鶏の足、蛇の尾を持つ悪魔で、竜に乗った姿で描かれている。

 

 

 

 「聖書大辞典」より

 

  アスモダイオス 

  Asmodaios トビト書に登場する悪霊で、サラの結婚相手となった男7人を次々と殺した。トビアは、第天使ラファエルから悪霊を退治できる方法を教えてもらい、それを知った上でサラを妻にした。

 

 以前はアスモダイオスとは、イランの伝説に現れる悪霊で、善霊スラオシャの敵であったアエーシマ・ダエーヴァのイスラエル版であると考えられたが、現在ではむしろ、ユダヤ人の民間信仰から生じた独自の存在と受け取られている。

 

 アスモダイオスは、人間に罠をかける悪霊である。ラビ文学では asm day と呼ばれ、悪鬼の王である。この名はヘブライ語の動詞の滅ぼす・破壊するに由来する。

タルムードの伝説の中では、なかんずくソロモン王と結びついて顕著な役割を果たしている。

 

 

 

 ■ リリス

 

 「図解・旧約聖書」より

 

 リリス旧約聖書に登場する夜の魔女である。リリスの名は主にヘブライ語旧約聖書に見られる記述であり、ギリシャ語の『70人訳聖書』では、半人半獣を意味するオノケンタウロスラテン語の『ウルガタ訳聖書』では女吸血鬼であるラミアと翻訳された。

 

 それ以降の聖書では様々な訳が当てられている。とは言っても、リリスに関する記述は『イザヤ書』にごく短く「夜の魔女は、そこに休息を求め休む所を見つける」と書かれている程度である。リリスが活躍するのは、後のユダヤ教の伝承や中世キリスト教の伝承、イスラム教の伝承においてであった。

 

 リリスの原型は、中東世界の女神、もしくは悪霊である。ユダヤ伝承では、リリスは女の顔をして翼と長い髪を持つ魔物だった。出産時の女性や男児、眠っている男性を苦しめたという。死海文書の『賢者への歌』では魔物の一覧に数えられている。

 

 中世に書かれた作者不明のユダヤ系の文書『ペン・シラのアルファベット』によれば、リリスはアダムの最初の妻であった。彼女はアダムとの平等な立場を望んだが、拒否されたため姿を消してしまう。彼女を連れ戻そうとしたアダムに応えた神は3人の天使を派遣するが、リリスは説得に応じず、毎日100人の子を殺されるという罰を受けることになった。それ以来彼女は復讐のため人間を襲うようになったとされる。

しかし、3人の天使サンヴィ、サンサンヴィ、セマンゲラフ、もしくはシネス、シシ二オス、シノドロスの名を刻んだ護符を用いれば彼女を追い払うことができた。

出産時の女性のこうした護符で守るという風習は18世紀まで続いている。

 

 なお、カバラ思想では、リリスサマエル(サタン)の妻とされる。また、イスラム教では悪魔の王イブリースの妻としてジンたちを生み出すという。

 

 

 

 「聖書大辞典」より

 

 リリト 

 Lilith 夜の魔女。バビロニアの嵐の悪霊。この語はイスラエルでは Layil  夜 と発音が類似しているために夜の悪霊と理解された。

一種の鳥という解釈には賛成できない。

 

 

 

 

■ メルカルト

 

 Melkart  フェニキアのバアルで、ティロス(ッロ)の都市神。語彙自体は「町の王」。また、多くのフェニキアの植民地の守護神である。ギリシア人によってヘラクレスに相当する存在として崇拝された。

ティロスにあるメルカルトの母神像はこの都市国家の創建時代に由来し、エペソのメナンドロスの報ずるところによれば、ダビデとソロモンの同時代の王ヒラムにより取り壊され、新たに建設されたという。

 

 アレッポの北7㎞のブレイジで発見されたメルカルト碑石の碑文から、この神がアラム人ペンハダトによっても崇拝されていたことが知られる。

 

 

 

 前回もこのアハブの妻イゼベルが、父の代より崇拝していたバアル神=メルカルトのことを聖書記述より紹介しましたが、『聖書の世界』ハリー・トマス・フランク著からも物語の背景として抜粋してみました。

 

 

 9, 二つの王国

  

 「……ソロモンの王国が崩壊してから半世紀というものは、イスラエルは自滅の道を辿った。今やこの間に残ったのは、カナーン人の血統を引いていたかもしれない軍司令官オムリくらいだった。……オムリはどのようにして、偉大な仕事を成し遂げ北王国イスラエル潜在的な偉大さの発展をもたらしたのであろうか。

…彼は、イスラエルの南の境界といういわば長年患った血友病の傷口を癒すユダとの講和を結んだ。かつて経済活動の磁石であった交易関係を再開し、フェニキア人と同盟関係を結んだ。彼はこの同盟関係を息子で皇太子にあたる、アハブとティロスの祭祀王エシバアルの娘イゼベルとの不幸な結婚を通じて確実なものとした。

やがて、この我の強い女性をイスラエルの地に招き入れたことは後悔の原因となった。…当面はフェニキアの縁故に多くの利益をもたらした。

 

 ……ソロモンは神殿や社をエルサレムに建て、それらの多くを自分の異邦人妻達の神々に奉納した。今やサマリアに君臨するアハブが、王妃イザベルのために同じことをしてはならない理由は何もなかった。

イスラエルに出現したバール=メルカルトに捧げられた神殿は、おそらくほとんどの人々にとりもなおさず王妃のために造られたのだ、と見られたであろう。

 

……イスラエルの純粋で熱心な宗教家達の目には、このことだけで十分悪い事であった。しかし、さらに悪い、最悪とも思える事態が迫っていた。

王妃イゼベルは、勝ち気で頑迷で、妥協なく、すこぶる無慈悲であった。

さらに彼女に心底徹底して反対していた人々同様、彼女は自分の信仰に対し狂信的であった。

自分の拝する神の祭儀を国中に広めることが、彼女の欲するところであり、その意図でもあったが、おそらく彼女はそれを宮廷の公式宗教にしようとまで臨んだらしい。少なくとも850人のバールおよびアシェラの祭儀を執り行う祭司達が王の食卓に連なり、すでに国家の証人を享受していた。

……イスラエルは、ャハウェとバールのどちらを選ぶか選択を迫られた。

 

 

 

 

 ◆補足文

(バアル=メルカルトの名前とよく似た、スマホアプリの「メルカリ」。

メルカリのシンボルマークは立方体。気が付いた人は気が付いたはず。

「メルカリ」って変な名前だなぁとは思っていたけれど…まさかじゃないと思います。

これは有名な話ですが、あの、スーパーの「イオン」も、実は聖書の聖なる山「シオン」が由来らしいです。

そういう聖書関係から付ける名称・シンボルマークは実際とても多いのです。