tekuteku-tekutekuの日記

聖書研究と陰謀論

聖書外典偽典(旧約偽典)『ヨベル書』7

旧約偽典 『ヨベル書

 

 

第30章

 

 第6年週の第1年の4月に彼はシケムの東にあるサレムに無事登った。そこで彼等はヤコブの娘デナをその土地の領主、ヒビ人ハモルの子シケムの屋敷内にさらって行き、彼女と寝てこれを穢した。その時彼女は12歳の小娘であった。彼は彼女を妻にもらえないかと彼女の父と兄弟達に頼み込んだが、ヤコブとその子等はシケムの人々に対して、妹デナの身を穢したことに立腹し、話し合いをした時も良からぬ意図が心の中にあり、相手をだまし、ペテンにかけることになった。

 シメオンとレビは突如としてシケムを襲い、シケムの人々に対して制裁を加えると称して見つけ次第ただの一人として残さず、妹デナを辱めたからというので、皆を無残な死に目にあわせた。

 故に、イスラエルの娘を穢すということは今後永久にされてはならない。イスラエルに対して恥ずべきことを行ったシケムの人々は、剣をもって全滅さすべきことが彼等に対する裁きとして天で定められた。主は彼等をヤコブの子等の手に渡して、彼等を剣で全滅せしめ、制裁を加えて、こういうことが再びイスラエルに対して行われ、イスラエルの処女が穢されることのないようにされた。

イスラエルの人で、娘あるいは姉妹のたねに属する者にやろうと欲する者はこれを死刑に処し、イスラエルの中で罪と恥ずべきことを行った廉で石打ちにすべきである。また当の女も、父の家名を穢した廉で火あぶりにし、イスラエルから抹殺すべきである。

イスラエルの中には姦婦、または穢れは地の続く限り代々あってはならない。イスラエルは主のために聖別されているからである。穢れを行う者は全て死刑に処し、石打ちにすべきである。…この律法には時の制限も、猶予も、贖いの余地もない。

 

 否、全イスラエルの中で娘を穢すものは抹殺されるであろう。自分の子孫の中の一人を★モロクにやり、これを穢して咎を犯したからである。モーセよ、イスラエルの子等に命じて証言し、娘を異教徒にやらないように、また、異教徒の娘を嫁に迎えないようにせよ。これは主の忌み嫌われるところである。

 

……(略)

 

 

 

◆補足文★モロクMoloch・モレクMolechは、古代の中東で崇拝された神の名前。カナンの神のヘブライ語名。男性神。「涙の国の君主」、「母親の涙と子供達の血に塗れた魔王」とも呼ばれており、人身供犠が行われていた。ラビ・ユダヤ教の伝統ではモロクは生贄が投げ入れられる火で熱したブロンズ像と言われている。古代ヨルダン東部に住んでいたアモン人達からは、豊作や利益を守る神として崇拝されており、彼等はブロンズで「玉座に座ったモレクの像」を造り出し、それを生贄の祭壇として使っていた。像の内部には7つの生贄を入れる為の棚も設けられていた。その棚には供物として小麦粉・◯鳩・牡羊・牡山羊・仔牛・牡牛・そして人間の新生児が入れられ、しかも生きたままの状態で焼き殺しており、新生児はいずれも、王権を継ぐ者の第一子であったとされる。また、生贄の儀式には、シンバルやトランペット、太鼓による凄まじい音が鳴り響き、これは子供の泣き声をかき消す為のものとされている。主がいかにカナン人を敵視しておられたかが理解できるのではないでしょうか。)

 

 

 

 

 

 レビの子孫は祭司職とレビ人の階級に選ばれ、われわれと同じように常に主の御前に奉仕し、永遠にレビの子等は祝福されることとなった。彼レビが、イスラエルに対して尊大に振る舞った全ての者達に対して正義と裁きと復讐を行うについて熱心だったからである。このように彼に対する証として万物の神の御前に、天の板に祝福と義が記載されるであろう。われわれは人が一生の間に行った義を一年のあらゆる時に覚え、これを記載して千代に至るまで保存し、彼と彼の後の続く世代に報いを及ぼす。……

 

 

 彼等は妹デナをシケムの家から連れ出し、シケムにあったものは何もかも、彼等の羊、牛、ろば、家畜、財産一切を差し押さえ、彼等の父ヤコブの所へ持って行った。

彼は彼等が町の住民を殺したことについて彼等と相談した。土地の住民、カナン人ペリジ人が恐かったのである。主に対する恐怖がシケムの周辺の町々におこり、すっかり臆病風につかれて、ヤコブの子等を追い出そうという勇気のある者はなかった。

 

 

 

第31章

 

 その月の朔日にヤコブは彼の一家全員に語って言った。「身を清め、着替え、起ってべテルへ登ろう。兄エサウを避けて逃げた時、私と共にあって無事にこの地へ連れて来て下さった主に、私はそこで願をかけたのである。君たちの中にある他神を取り払うがよい。」彼等は他神、及び彼等の耳や首にかかっているものを取り除いた。ラケルは父ラバンの所から盗んできた偶像を全部ヤコブに渡した。彼はそれを火にくべ、粉々にぶち壊し、シケムの地にある樫の木の下に隠した。

 

 彼は7月の朔日にべテルに登り、自分がかつて眠って塚を築いたその場所に祭壇を建て、父イサクと母リベカに祭壇の所まで来てくれるよう使いをやった。

イサクは言った。「死ぬ前に我が子ヤコブに会いたい。ここへよこしてくれぬか。」

ヤコブは祖父アブラハムの家にいる父イサクと母リベカの所へ出掛けた。彼は2人の子レビとユダを連れて、父イサクと母リベカの所まで出掛けた。

 

 リベカは◯から出て、ヤコブに接吻し、彼を抱きしめるために◯の入口まで出て行った。…彼女は2人の子供を見、これを認め、「倅や、これはお前の子かい?」と言って彼等を抱きしめ接吻し、祝福して言った。「お前達のおかげでアブラハムの子孫は栄え、お前達は地上で祝福の基となろう。」

 

 ヤコブは父の寝ている小屋に入って行ったが、2人の子供も一緒だった。彼は父イサクの手を取り、かがんで接吻した。イサクは我が子ヤコブの首にしがみつき、そのまま泣いた。かすんでいたイサクの目ははれて、ヤコブの2人の息子、レビとユダを見ると彼に言った。「倅や、これはお前の子かい、お前にそっくりじゃのう。」彼は、2人は確かに自分の子であると彼に言った。「ご覧の通り、お父さん、確かに私の子です。」彼等が彼に近寄ると彼は向き直って2人一緒に抱きしめて接吻した。

 

 預言の霊が降って彼の口に入り、右手でレビを、左手でユダを掴んだ。彼はレビの方に向かって彼を祝福しはじめ、彼に言った。「万物の神なる主、全ての世々の主がお前とお前の子等をとこしえに祝福されるように。主がお前とお前の子孫とに、ご自分の偉大さを分からせてくださるように。また、全ての肉なるものの中から選んでお前とお前の子孫を御元に引き寄せ、御前の天使および聖者達と同じようにその聖所で奉仕させて下さるように。お前の子等の子孫は栄誉において、偉大さにおいて、聖さにおいて、彼等天使達に比すべきものとなり、彼は彼等を永久に大いならしめたもうであろう。彼等はヤコブの子等全ての子孫の君、指導者、また首領となるであろう。彼等は主の言葉を義でもって語り、彼等全ての裁きを義でもって執り行い、私の道をヤコブに、私の径をイスラエルに告げるであろう。主の祝福は、愛せられた者の全ての子孫を彼等が祝福するようにと彼等の口に授けられるであろう。…お前は主に仕候する者となり、ヤコブの全ての子等の友となる。彼の食卓はお前のものとなり、お前もお前の子等もそこの席で食し、お前の食卓は代々に溢れ、永久に馳走に事欠くことはないように。お前に敵する者はお前の前に倒れ、全てお前の仇は抹殺され滅び、お前を祝福する者は祝福され、お前を呪う者は全て呪われるように。」

 

 またユダに言った。「✽✽お前に敵する全ての者を踏みにじる力と強さを主がお前に賜るように。お前とお前の子等の内の一人はヤコブの子等を納める君となるがよい。お前の名と、お前の子等は全地とその境をくまなく行き巡る者となるように。全ての国民はお前を恐れ、全ての国民は身震いし、全ての民が身震いするであろう。お前の内にヤコブの助けはあり、お前の内にイスラエルの救いは見いだされるように。お前がお前の義の栄誉の座に座る時、愛された者の子等全ての子孫は大いなる平安を得るであろう。お前を祝福する者は祝福され、お前に敵し、お前を苦しめる者、またお前を呪う者はことごとく抹殺され、地上から滅び、呪われるがよい。」

彼は向き直ってもう一度接吻し、抱きしめ、我が子ヤコブの実の子にまみえたことを大いに喜んだ。彼ユダは一歩下がり、ひれ伏してイサクにお辞儀をした。彼は彼等を祝福した。

 

 

◆補足文✽✽ユダの子孫からアブラハム、そしてダビデ王までが14代目となり、ソロモン王からヨシア、エリヤとなり、ソロモンから24代数えてヤコブがヨセフの父となり、母マリアと結婚してメシアのイエス・キリストが誕生しました。

 

 

 彼ヤコブはその晩そこに、父イサクの傍で休み、彼等は楽しく飲み食いした。彼はヤコブの2人の子を一人は右手、一人は左手に抱いて眠らせた。これは彼の義として数えられた。

ヤコブはその晩、主が自分に大きな憐れみをくださり、全ての事業を栄えさせてくださり、全ての災難から護ってくださった次第を父に何もかも語った。

イサクはその僕イサクの子に恵みと義を惜しまれなかった父アブラハムの神を褒めたたえた。

 

……(略)

 

 

第32章

 

 その晩彼はべテルに残った。レビは彼が彼と彼の子等を永久にいと高き神の祭司職に任じた夢を見た。彼は眠りから醒めて主を褒めたたえた。ヤコブはその月の14日早朝に起き出して、人間から家畜に至るまで、金から一切の持ち物、衣類に至るまで彼が持ってきた一切の物の10分の1を献げた。

……レビは彼の10人の兄弟とは別格に、べテルで父ヤコブの前で祭司を勤めた。彼はそこで祭司となった。……

 

 その次の夜、その月の22日、ヤコブはその場所を普請し、屋敷に壁をめぐらし、こえを聖別し、彼自身と彼に続く子等のために聖別しようと決意した。主は夜、彼に姿を現され、彼を祝福して言われた。

君の名はヤコブと呼ばず、君の名はイスラエルと付けることにする。

主はまた彼に言われた。「わたしが主、君の神、天地を創造した者である。わたしは君を発展させ、君を大いに増し加えよう。君たちの王が起こって、人の子等が足跡を印した限りの所をすべて治めるであろう。わたしは天下の全地を君の子孫に与えよう。彼等はすべての国民を意のままに治め、その後全地を領有し、これを永遠に受け嗣ぐ。」

主は彼と語り終えると、彼を離れて昇られた。ヤコブは彼が天に昇られるのを見送った。

 

 彼は夜中に幻を見たが、7枚の板を手にした天使が空から降りてきてヤコブにこれを渡した。彼はそこに書いてあること、彼と彼の未来の子等のに起こるであろうことを全部読み取った。

 天使は板に書いてあることを全て彼に言った。「この場所の普請はやめるがよい。またこれを永遠の聖所にしてはならない。ここに住むこともならぬ。ここはその場所ではない。祖父アブラハムの家に行き、父イサクの所に父の死まであそこに住むがよい。君はエジプトで安らかに死に、この土地にある先祖達、アブラハムとイサクの墓所に立派に埋葬してもらえるであろう。恐れることはない。万事君が見、かつ読んだ通りになってゆくのだ。君が見、かつ読んだ通りに全部書き取るがよい。」

 

 ヤコブは言った。「私が読みかつ見たことをどうしたら覚えきれるのでしょうか。」彼は彼に言われた。「わたしが何もかも憶えられるようにしてやろう。」

天使は彼を離れて天に昇り、ヤコブは夢から醒めたが、自分が読みかつ見たことをことごとく思い出し、読みかつ見たことを全部書き取った。……

 

 ……ラケルは夜中に男児を出産し、産が辛かったところからその名を「我が悲痛の子」と付けたが、父親はこのヨベルの第6年週の第1年の8月11日にその名をベニヤミンと付けた。ラケルはそこで死に、エフラタの地、すなわちベツヘレムに葬られたが、ヤコブラケルの墓地に、道路に面してその墓に塚を築いてやった。

 

 

第33章

 

 ヤコブはそこを去ってマグダルアドラエフの南に居を定めた。また、彼は妻レアを伴って10月の朔日に父のもとを訪れた。

 

 ルベンは、ラケルの下女で父の側女ビルハがこっそり沐浴みをしているところを見て、これに惚れてしまった。そこで夜分ひそかにビルハのテントに忍び込んだ彼は、彼女が一人床にふせり、そのテントで眠っているところを見つけた。彼は彼女と寝た。彼女が眼を覚まして見てみると、ルベンが自分の寝床に一緒に寝ているではないか。彼女は寝衣の裾をまくって相手を捕まえると、あっと叫んだ。それがルベンであることに気が付いたのである。彼女は彼の手前恥かしくなり、相手を掴んでいた手を放すと、彼は逃げていった。彼女はこのことをひどく悩み、誰とも口を聞かなかった。ヤコブがやって来て彼女を求めた時も、彼女は言うのだった。「私はあなたのお考えになっているようなきれいな身体ではありません。汚れてしまいました。あなたとはもう一緒になれません。ルベンが私を穢したのです。夜中に私と寝たのです。私ともあろうものがすっかり眠りこけていて、あの人に裾をめくられるまで気が付かず、気が付いた時はもう済んでいました。」

 

 ヤコブはビルハと寝て父の肌着をめくったルベンに激しい憤りを感じた。ヤコブはルベンに犯された彼女に触れようとはしなかった。誰でも父親の肌着をめくる者は、その行為は甚だ悪くこれは主の民の忌み嫌われところである。この故に、人は父の妻と寝てはならない、また父の肌着をめくってはならない。と天の板に書かれ、規定されている。

これは汚らわしい事であり、父の女と寝た男も、その相手の女も、地上で汚らわしいことをしたのであるから死刑に処すべきである。自分の所有として選ばれた民の中では、われわれの前で汚らわしいことはあってはならない。また書いてある。「父の女と寝る者は自分の父の恥部をあらわにしたのであるから呪われよ。」と。

主の全ての聖徒は「しかり、しかり。」と言った。モーセよ、イスラエルの子等にこの言葉を守るように命ぜよ。

 

……(略)

 

 この第6年週の第3年にヤコブはその子等を全員引き連れてそこを去り、父イサクと母リベカの側、アブラハムの屋敷に住み着いた。……

 

 

第34章

 

 第44ヨベルのその年週の第6年に、ヤコブはその下男達をつけて自分の子等を羊の世話をさせるためにシケムの草原へやった。するとアモリ人の7人の王が一団となって彼等を襲った。彼等は森に潜んでいて、彼等を殺し、彼等の家畜をさらおうと狙っていたのである。ヤコブとレビとユダとヨセフは家に残っていて、父イサクの傍にいた。父の気が滅入っていて放っておけなかったのである。またベニヤミンは最年少であり、そのために父の傍に残った。

 

 タップアの王、アレサの王、サラガンの王、シロの王、ガアシの王、ベテホロンの王、マニサキルの王及びこの山地に住む全ての者、カナンの地の住む者達が攻めて来た。アモリ人達の王が彼の子等を包囲し、その家畜を略奪したという知らせがヤコブのところにもたらされた。そこで彼は家を出て、3人の子と父の全ての手下と彼自身の手下を引き連れ、帯剣した6000人の手兵をもって彼等を攻めた。そしてシケムの草原で斬り殺し、逃げる者はこれを追って、刀にかけて殺した。アレサとタップアとサラガンとシロとアマ二サキルとガアシの住民を殺し、家畜は取り戻した。彼は彼等を抑え、貢として土地の産物5種を課した。また、ロベルとタムナトアレスの町を建てた。彼は無事に戻ってきて彼等と和を結び、彼等は彼の奴隷となって彼がその子等と共にエジプトの地に下る日までに至った。

 

 

 その年週の第7年に、彼は家からシケムの地にヨセフを遣わして兄弟達の安否を探らせようとした。彼はドタンの地で彼等に出会った。彼等は彼を殺そうと思い、一計を企んで騙し打ちをしようとしたが、途中で予定を変え、イシマェル人の旅商人に彼を売り飛ばした。彼等は彼をエジプトへ連れ下り、パロの宦官の厨房の頭またエレウの町の生贄担当のポテパルに売りつけた。

ヤコブの子等は仔山羊を屠ってヨセフの着物をその血に浸し、7月10日にそれを父ヤコブの所に送り届けた。彼は一晩中嘆いていた。それ、ヨセフの着物は夕方彼の元に届けられたのである。そして我が子の死に対する嘆きがこうじて彼は熱を出した。

 

 彼は、「ヨセフは野獣に食われたのだ。」と言った。一族の者はその日彼と一緒に嘆き、一日中彼と一緒に悲しんだ。息子娘達は彼を慰めようとしたが、息子のことで慰められるものではなかった。その日ビルハは、ヨセフが亡くなったと聞き、彼のことで嘆きながら自分も死んだ。彼女はその頃カフラテフに住んでいた。彼の娘デナもヨセフが亡くなった後死んだ。イスラエルは一月の内に3度喪に服することになった。人々はビルハをラケルの墓の向かいに埋め、彼の娘デナもそこに埋めた。彼はヨセフのことを嘆き続けて一年に及び、なおも止めなかった。

 

 ……ヨセフが亡くなった後にヤコブの子等は妻を娶った。ルベンの妻の名はアダ、シメオンの妻の名はカナン人の女アディバア、レビの妻の名はメルカ、アラムの娘の一人でテラの子の子孫、ユダの妻の名はカナンの女ベタスエル、イッサカルの妻の名はヘザカ、ゼブルンの妻の名はニイマン、ダンの名はエグラ、ナフタリの妻の名はメソポタミア出身のラスウ、ガドの妻の名はマアカ、アセルの妻の名はイヨナ、ヨセフの妻の名はエジプト女アスナト、ベニヤミンの妻の名はイヤサカ。シメオンは悔い改めて、兄弟達に倣ってメソポタミアから二人目の妻を迎えた。