tekuteku-tekutekuの日記

聖書研究と陰謀論

聖書外典偽典(旧約偽典)『ヨベル書』4

旧約偽典『ヨベル書

 

第11章

 

 ……ノアの子らは同士討ちをはじめ、捕虜として捕えたり、殺し合ったりし、人の血を地上に流し、血を食い、堅固な都市、城壁、塔を築き、人間個人を国家以上に重んじ、国王の基礎をすえ、国と国、民族と民族、都市と都市は戦火を交え、ありとあらゆる悪事を働き、武具を手に入れ、子らに戦を教え、町の住民を捕虜にし、男女の奴隷を売り始めた。

ケセデの子ウルはカルデア人のアラの町を建て、その名を自分自身の名および父の名にちなんで付けた。彼等は鋳造の像を造って、各々自分が鋳造した偶像を拝んだ。

 

 また、偶像と穢れた像を造り始め、邪悪な霊どもが彼等を手助けして、罪と穢れを行うように誘惑していた。頭領マステマは精出してこういうことを何でもやり、配下にまわされてきた他の霊どもを遣わして、ありとあらゆる罪咎を犯させ、人々を堕落させ、滅びに導き、地上に血を流させるなどしてありとあらゆる不法を行わせた。

 

 この故に、即ちすべての者が道を踏み外してあらゆる罪を犯すようになったので、セロホの名はセルグと呼ばれたのである。彼は長ずるに及んで、妻の母の父に近く、カルデア人のウルに住み着き、偶像を拝んでいた。彼は第36ヨベルの第5年週の第1年に妻を迎えたが、その名をマルカ、カブラの娘、父の兄弟の娘であった。彼女はその年週の第1年に彼にナホルを産んだ。彼は成長してカルデア人のウルに住み着いた。父は空の兆(しるし)に基づいて占ったり、予言したりするカルデア人の学問を彼に教え込んだ。第37ヨベルの第6年週、その第1年に彼は妻を迎えたが、その名はイスカ、カルデア人ネスタグの娘であった。彼女はこの年週の第7年に彼にテラを産んだ。

 

 悪霊どもの頭領マステマは、鳥やその他の鳥を送って、地上に撒かれた種をついばませ、地を滅ぼし、人間どもの苦労の実をさらわせた。耕して種を撒きつける前に鳥が地表から種を集めて去った。この故に、即ち鳥と鳥どもが彼等を散々に痛めつけ、その種を食い荒らしたので、父は彼の名をテラと呼んだ。その頃、鳥のお陰で不作の年が始まり、鳥どもはあちこちの森のありとあらゆる木の実を食い尽くした。人々はその頃やっとのことで、ほんのわずかばかりの地の実りを確保することが出来た。

 

 この第39ヨベルの第2年週の第1年にテラは妻を迎えたが、その名はエドナ、アブラムの娘、父方の従姉妹であった。この年週の第7年に彼女は彼に男児を産んだ。彼はその名を母方の祖父の名にちなんでアブラムと呼んだ。彼、父は嫁が男児を孕む前に死んでいたのである。

 

 全ての人が彫った偶像や穢れに誤って惹かれるという地の誤ちに、彼は幼くして目覚めた。父は彼が14歳の時に書を教えてやった。しかし、彼は父と一緒に偶像を拝むのが嫌で、父と別れた。彼は万物の創造者に、自分を人の子らの誤ちから助け出してくださり、穢れとやましい道に惹かれて誤ちに陥るような結末にならないように、と祈りはじめた。

 地に種を撒きつける時節がめぐってきた時、一同内揃って畑に出て種をねらう鳥を見張ることになった。アブラムも彼等に同行して出かけたが、まだ14歳の少年であった。種をついばもうと鳥が雲のようにやって来たので、アブラムはそれが地面に降り立つ前に、それ来たとばかりに駆けだして行き、これが地面に降り立って種子をついばみださないうちに、がなりたてて言った。「降りてくるな!元の所へ戻れ!!」すると、彼等は引き返した。その日、鳥の雲は70回も戻ってきたが、アブラムが頑張っていた畑のどこにも一羽の鳥も残らなかった。一緒にいた者は皆、彼が怒鳴ると鳥が全部引き返す様を目撃した。かくて彼の名はカルデア人の地にいたるところで大いに上がった。

 

 その年、種を撒きつけようと思う者は皆彼の所に訪ねてきた。すると、彼は種撒きの季節が終わるまで彼等と一緒に出掛け、彼等は地に種子を撒き、その年は大いに収穫を上げ、飽きるほど食べられた。第5年週の第1年にアブラムは、牛用の道具をこしらえる木工を指導して、鋤(すき)の枠に向い合って地表より少し高い位の器を作らせた。すると種子はその上に乗っかって、それから鋤の刃にすべり落ち、地中に隠れたので、鳥の心配がいらなくなった。

 

 

第12章 

 

 第6年週、その第7年のことアブラムは父テラに言った。「お父さん。」すると彼テラは、「うん、お前か。」と言った。

彼は言った。「※※後生大事に拝んでいらっしゃるこの偶像はどういうご利益があるのですか。あれには魂が通ってないでは在りませんか。啞も同然です。あんなものは心の迷いです。拝んだりなさるような代物ではありません。拝むのでしたら地上に露と雨を降らせ、地上でありとあらゆることを行い、万物をその言葉によって創造された天の神様です。すべての生命はあのお方に源を発するのです。なんでまた皆さんは精神も魂も通っていないような物を拝まれるのですか。あんな物を手でこしらえる者は酷い恥をかかされ、あんな物を拝む者は心を惑わされるだけです。拝みなさってはなりません。」

 

 父親テラは言った。「✽お前、それはわしにも分かっている。だが、あれに仕えるよう、わしに仕向けたこの民をどうしようというのかね。本当のことを言おうものなら、わしを生かしちゃおくまい。彼等の気持ちはすっかりこれに傾いていて、一心に拝み、有難がっているんだからね。生命が惜しかったらお前は黙っているのだ。」

 

 

◆補足文(※※このアブラムのセリフはまさしく、常に創造主が人間達に言っておられる事であり、旧約聖書新約聖書全体においてよく出てくる内容です。偶像崇拝がいかに愚かであり、神が最も忌み嫌う行為なのだということです。✽そして、アブラムの言葉に対する父テラの返答もまた、愚かな人間達の言訳であり、現在も殺されることはないにしろ、同じだといえます。偶像崇拝を少しも異常だとは思わず、文化や慣習であるのだから良いとか、人間が作ってどこかの寺や神社、教会などに販売された「神様の像」という商品、本当にただの物体に過ぎないものに、神の魂が本当に宿っているのだと有難がって信じているのです。)

 

 

 

 このことを2人の兄弟に話すと、彼等はカンカンになったので、彼は口をつぐんだ。第40ヨベルの第2年週、その第7年にアブラムは妻を迎えたが、その名はサライ、彼の父の娘であった。彼女が彼の妻となった。彼の兄弟ハランは、この第3年週の第3年に妻を迎え、彼女はこの年週の第7年に男児を産み、彼はその名をロトと呼んだ。

 

 彼の兄弟ナホルは妻を迎えた。アブラムの生涯の第60年、即ち第4年週、その第4年にアブラムは夜中に起き上がって偶像の祠(ほこら)を焼き払い、その祠の中にあったものを何もかも焼いてしまったのだが、誰もこれに気づかなかった。やがて人々は夜中出して、彼等の神像を火中から救い出そうとした。ハランはこれ神像を助け出そうと焦ったところへ火が燃え移って火◯の中で燃え尽き、父テラに先立ってカルデア人のウルで死んだ。彼はウルに葬られた。

 

 テラはその子らを引き連れ、レバノンの地とカナンの地に居を求めてカルデア人のウルを出たが、結局ハランに住み着き、アブラムも父テラとハランに2年週間住んだ。

第6年週のその第5年にアブラムは起って、7月の朔日、その年の雨がどういうふうになるかを知るために夕暮れ時から明け方まで星を観察しようと夜明かしした。彼はただ一人坐って観察した。

すると彼の心に語り掛ける声があった。「すべての星の兆、太陽と月の兆はいずれも主の手の中にある。なぜ自分が探り出さなくてはならないのだろうか。彼が良しとされれば、朝夕雨を降らせられるし、彼が良しとされれば止めてしまわれる。すべては彼の手中にある。」

その時、彼は祈って言った。「わが神よ、いと高き神よ。私の神はあなただけです。あなたが万物を創造されたのです。ありとしあるものすべてあなたの御手の業です。わたしはあなたとあなたの主権を選びます。人の心の思いを自由にする悪霊どもからわたしを救い出し、彼等に、惑わされてあなたを離れないにしてください。わが神よ。あなた自らわたしとわたしの子孫をして今より永久に迷う事のないようにしてください。……あなたは正しい道を繁栄させてください。あなたの僕の手でこれを行わせ、わたしが心の迷いに従って歩かないようにしてください。」

 

彼が語り終ると、見よ、主の言葉が。わたしを通じて彼に送られた。「さあ、君の土地、一族のもと、父の家を出てわたしが示す土地に行くがよい。わたしは君を数の多い大民族にしてやろう。わたしは君を祝福し、君の名を高からしめよう。君は地上で祝福された者となり、地の全ての族は君にあって祝福されよう。わたしは君を祝福する者を祝福し、君を呪う者を呪おう。わたしは君の神である。恐れるな。これより、地の続く限り代々にわたしは君の神である。」

 

 主なる神はわたしに言われた。「彼の口と耳を開いて、相応しい言葉を聞き、語れるようにしてやれ。」それは、バベルの塔の崩壊の日以来、人の子らの口を離れていたのである。わたしは彼の口と唇を開いてやり、また彼の耳を開いてやり、創造の言葉たるへブル後で彼と語り始めた。彼は先祖達の書物を取り上げたが、それはヘブル語で書かれていた。彼はそれを書き写して、その時から学び始めた。わたしは彼の手に負えないようなところを全部教えてやった。彼は雨期の6か月間その学びを続けた。

 

……(略)

 

 

第13章(略)

 

 

第14章

 

……彼、主は言われた。「わたしは君の神なる主。君にカナンの地を永遠の所領として授けるために君をカルデア人のウルから連れ出した者えある。わたしは君と君の後に続く君の子孫の神となろう。」

 

……(略)

 

第15章

 

……主はアブラムに姿を現して彼に言われた。「わたしはシャッダイの神である。わたしの心に適う者となり、完全な人間になれ。わたしはわたしと君の間で契約を結び、君を大いに栄えさせよう。」

アブラムが平伏すると主は彼に語りかけて言われた。「見よ、これが君と定めるわたしの規定である。わたしは君を多くの国民の父祖とする。よって君の名はアブラムと呼ばず、君の名は今より永久にアブラハムとなる。わたしが君を多くの国民の父祖とするからである。わたしは君を甚だ大いにならしめ、君を幾つもの国民とし、君の子孫の中から何人もの王が出るであろう。わたしは君と君の子孫に続く神になるために、君と君に続く代々の子孫との間に、永久の規定を定める。わたしは君が移住してきた土地、カナンの地を君と君に続く子孫に与え、君に永久に領有させ、わたしは彼等の神となる。」

 

……主はアブラハムに言われた。「君の妻サライだが、あれの名はサライとは言わない事にする。彼女の名はサラである。わたしは彼女を祝福し、彼女によって君に男子を授けよう。わたしはこれを祝福し、彼は一つの民をなし、彼から諸国民の王達が起こるであろう。」

 

……(略)