tekuteku-tekutekuの日記

聖書研究と陰謀論

聖書外典偽典(旧約偽典)『ヨベル書』3

旧約偽典『ヨベル書

 

第8章

 

  第29ヨベルの第1年週、そのはじめにアルパクサデは妻を迎えたが、その名はラスヤといい、スサンの娘、エラムの娘であった。彼女はその年週の第3年に彼に男児を産み、彼はその名をカイナムと呼んだ。その子は成長し、父に書を習い、町を攻め取れるようなところを探しに出かけた。彼は昔の人が岩に彫った碑文を発見し、その内容を読み、訳したが、それがために罪を犯した。そこにあったのは※「寝ずの番人たち」の教えであり、それによって彼等は天上の日月星晨の色々な徴(しるし)を見て星占いをやっていたのである。彼はそれを書きとったが、それについては喋らなかった。ノアにそのことを喋って怒りをこうむるのを恐れたからである。

 

 第30ヨベルの第2年週、その一年に彼は妻を迎えたが、その名はメルカといい、ャぺテの子マダイの娘であった。彼女は4年目に彼に男児を産み、彼はその名はシェラと呼んだ。「私は確かにつかわされた」と彼は言った。彼は4年目に生まれ、シェラは成長し、第31ヨベルの第5年週、その第1年に妻を迎えた。その名はムアク、父の兄弟ケセデの娘であった。彼女は第5年に彼に男児を産み、彼はその名をエベルと呼んだ。

……彼はその名をぺレグと呼んだ。彼が生まれたところにノアの子らは地を分割し始めた。それゆえに彼はその名をぺレグと呼ぶことにしたのである。彼等は地を分割するにあたって不正を行い、その分割のことをノアに報告した。第33ヨベルのはじめ、第1年週の第1年、彼等のところに我々が派遣した我々の一人の出席のもとで、地をそれぞれの相続分に従ってセム、ハム、ャぺテの3区分に分割した。

 彼に呼ばれて彼の子達および孫達がやってくると、彼は3人の子らが嗣ぐべき土地をくじで分割してやった。彼等は手を出して父ノアの懐からくじを引いた。セムのくじに出たのは地の中央の河口にはじまり、彼の分はこの河の真中を西の方に進んで淵の水に達するまで進む。そこからこの河は流れ出しており、その水をメアトの海に注ぐ。この河は大海に流れ込む。北の方にあるのは全てャぺテのもの、南の方にあるのは全てセムのものである。

 それは更にカラソに接するまで進む。これは南の方向を向いている湾の内部にある。彼の領地は大海に沿って進み、南の方を向いている湾の西方に接するまで一直線に進む。この海の名はエジプト海の湾という。ここから曲がって南の方へ、その水の岸にある大海の口の方へ進み、アフラの西へ進み、ギホン河の水に接するまで進み、更にギホンの水の南、この河の岸にまで進む。エデンの園、その南の方、南に達するまで東に進み、エデンの全地および東部全体の東を含む。更に東の方で曲ってラファという名の山の東に接するまで伸び、ティナ河の水の河口の方に向かって下がる。この部分がくじでセムとその子孫が引き当てたもので、彼等が以後代々にわたって嗣ぐべきものである。

 

 セムとその子孫がこの部分を引き当てたことをノアは喜び、彼が預言して自分の口で語ったことを思い出した。彼は言ったものである。「セムの神、主はほむべきかな。主がセムの住まいに住まわれんことを。」エデンの園は至聖所であり、主の住まいであること、シナイ山は砂漠の中心、シナイ山は大地のへその中心、この3つは互いに相対して聖地として創られたものであることを彼は知った。彼は自分の口に主の言葉がおかれた神々を褒めたたえた。祝福の領土と幸福がセムとその実らにの子孫にあたったことを彼は知った。エデンの全地、紅海の全地、東部の全地とインド、エルテリア(紅海)とその全ての山々、バシャンの全地、レバノンの全地、カフトルの島々、サニルとアマナの全ての山々、北のアッシリアの山々、エラムアッシリア、バベル、スサおよびメディアの全地、アララテの全ての山々、アッシリアの山々の向こう、北の方にある海の彼方の全域、祝福された広大な土地、その中にあるものは全ては甚だ優れている。

 

 ハムには、ギホンの彼方、南の方、園の右の方に第2の区域として彼の領土があたった。これは南に進み、全ての火の山の方へ進み、西の方、アテルの海の方へ進み、更に西の方へ進んでマウクの海に接する。これは滅びたくない者が誰でも飛び込むところである。また北の方ではガディルの涯(はて)に達し、海の水の岸、大海の水に達し、ギホン河に接する。ギホン河はエデンの園の右に接するまで進む。これがハムがくじで引き当てた土地であり、彼自身とその子孫のものとして永久に領有すべきものである。

 ャぺテには第3の区域としてティナ河の向こう、その水の河口の北方が当たった。これは北東方向にゴグの全域およびその東方地帯に及ぶ。更に、北進し、北の方およびマウクの海の方、ケルトの山々に進み、ガディルの東の方、海の水の岸にまで達する。またファラの西の方に接するまで進み、その水際、ラファの山の方に接し、北の方へまわる。これがャぺテとその子らがくじで引き当てた土地であり、彼自身とその子孫のために財産として永久に領有すべきものである。5つの大きな島と北方の広大な土地、しかし、そこは寒冷の地である。ところがハムの土地は暑く、セムの土地は暑からず寒からず、寒暖がほどよく入り混じっている。

 

 

第9章

 

 ハムはその領土を子らに分割してやった。第1の区域として東の方がクシに当たり、その西の方にミツライム、その西の方にプテ、その西の方、海に面して西にカナンの領土となった。セムもその領土を子らに分割した。第1の1区域としてエラムとその子らに当たったのがティグリス河の東の方にはじまり、東の方はインドの全地に及ぶ地域、エルテリア海の岸、デダンの海、メブリとエラの全ての山々、スサの全地、ファルナクの側にあたってエルテリア海およびティナ河にまで及ぶ地域。アッシリアには第2の区域としてアッシリア全土とニネべとシヌアルが当たり、これはインドの近くまで達し、北上してワダファ河に及ぶ。……ャぺテもその受け継いだ土地を子らに分割した。ゴメルには第1の区域として東の方、北の方からティナ河までが当たった。北の方ではメアテの海に接するまでの北方の奥地の全部がマゴグに当たった。マダイには、領有すべき区域として2人の兄弟の領域から西から島々までおよび島々の端までが当たった。

……このようにしてノアの子らはその子孫に父ノアのいるところで土地を分割した。彼ノアは一人一人に誓わせ、くじで当たらなかった区域を領有しようと欲する者を呪った。「地と咎と穢れと淫行と罪で満たしたところの彼等の穢れと罪悪ゆえに主なる神が剣と火で彼等を裁かれるその裁判の日まで、彼等自身と彼等の将来の代々の子孫にそうなりますように、確かにそうなりますように」と彼等は口を揃えて言った。

 

 

第10章

 

 このヨベル第3年週に穢れた悪霊どもがノアの子らを迷わせ、彼等をして道を誤らせ、滅ぼし始めた。

彼の子らはノアのところに来て、彼等を迷わせ盲目にし、彼の孫達を殺しつつある悪霊どものことを彼に語った。彼は彼の神、主に祈って言った。「すべて肉なる者のうちにある霊魂の神よ、私に憐れみを施し、私と私の子らを洪水から助け出し、あなたの恵みが私に対して大きくかつあなたの憐れみが私の魂に対して大きかったゆえに、他の滅びの子らに対してされたように私を滅ぼされなかったお方、願わくばあなたのお恵みが私の孫達の上に高く掲げられ、彼等が悪霊どもの意のままになって地から滅ばされることのありませんように。私を祝福してください。私と私の子らを。私どもが数を増し、地に満ちるように。※※これらの悪霊の父たるあなたの「寝ずの番人たち」が私の時代にどう振る舞ったかを、あなたはご存じです。現に生きているこの霊どもは、牢に閉じ込め、裁きの場所に繋いでおいてください。神よ、彼等があなたの僕の子らを滅ぼしなどしてはなりません。彼等は悪党なのです。彼等は他の者を堕落させるべく創られたのです。彼等に生ける者達の霊を支配させないでください。あなただけが彼等の裁きをご存じです。今より永遠に至るまで、彼等が義人たちの子らに権威をふるうようなことがあってはなりません。」

 

 ✤わたしたちの神は、彼等を全員捕縛するようにわたしたちに命ぜられた。霊どもの使者マステマがやってきて言った。「主よ、創造主よ、彼等の何人かはわたしに残してください。わたしの言うことを聞かせ、わたしが彼等に命ずることを全て行わせたいのです。彼等の内の一人も残してもらわなかったら、人の子らに対してわたしは自分の意思を思う通りに行うことが出来なくなります。彼等はわたしの決定に従って堕落させたり、滅ぼしたり、迷わせたりするのが役目です。人の子らの悪事には甚だしいものがあります。」彼は言われた。「彼等の内の10分の1は彼の前に残り、後の10分の9は裁きの場所に下るのだ。」

 

 彼はわれわれの中の一人ノアに彼等の療法(術策)をすべて教えるように言われた。彼等が正直に歩まず、正々堂々と戦わないであろうことを知っておられたからである。われわれは彼の言われた通りにして、手に余る悪党どもは片っ端から裁きの場所に繋ぎ、10分の1は地上でサタンに仕えるように残しておいた。われわれは✽✽彼等の病気の療法をその誘惑の手管とともに全部ノアに話した。彼が地上の樹木で治療が出来るようになるためである。ノアは、われわれがあらゆる治療法について教えてやったところを本に書きとった。

 

 

◆補足文(※※「寝ずの番人達」は別名「見張りの者達」のことであるということは前回説明させていただきましたが、彼等は神の怒りを買い、天から追放され人間の住む地上に投げ落とされました。洪水後、彼等はもはや人間の娘達と交わることは許されなかった為に、二度とその霊体に人間の肉を着ける事も当然許されませんでした。彼等は神を呪い、人間達を滅ぼすために人間達の肉体に憑依するようになったのです。そして彼等の子供である巨人達も同様に、死後その霊魂が天国に入ることは許されなかったために、親である堕天使達と共に、地上で彷徨う「悪霊」となったのです。(ただし、悪霊と呼ばれているのは主に巨人達の霊魂のことです。)✤ここでは、神のみ使いたちを指しているようです。✩霊どもの使者マステマは、悪魔サタンの名前のことのようです。✽✽ここでは、天のみ使い達がノアに彼等の病気の療法や、誘惑の手管、地上の樹木での治療を教えた、となっていますが、実際にそれらの治療法を人間に教えたのは堕天使やサタン側です。このユダヤ教クムランの祭司である著者は、間違った認識をしていたと考えられます。エノク書を読んでいるはずなので、おかしいとも感じます。わざと反対の内容を書いたのかもしれません。) 

 

 

 悪霊どもは閉じ込められて、ノアの子らを追い回すことはなくなった。彼ノアは、書き得た文書を全部長男セムにやった。彼ノアの子らは他のどの子よりも彼を可愛がっていた。

ノアは先祖たちと共に永眠し、アララテの地はルバル山に葬られた。彼は950年、19ヨベルと2年週と5年の寿命を全うした。彼はエノクに及ばないとしても、完全と言ってもよいその義ゆえにどの人の子よりも地上での寿命は長かった。エノクの務めは、裁きの日に代々の人間の全ての行いを告げるため、永遠の証として創られたのである。

 

……第33ヨベルの第2年週の第1年にぺレグは妻を迎えたが、その名をロムナと言い、シナルの娘であった。彼女はその年週の第4年に彼に男児を産み、彼はその名をリウと呼んだ。彼は言ったものである。「見よ、人の子らはシナルの地に自分達の都市と塔を建てようというそのふとどきな図り事のゆえに邪悪になった。」彼等はアララテの地を去って東の方シナルへ移った。

彼の時代に彼等は「これをつたって天に登ろう。」と言って塔のある都市を建てた。こうして彼等は建築にかかった。4年週目に火でレンガを焼き、レンガ石の代用となり、塗り固めるための漆喰は海とシナルの地の水の泉から産するアスファルトであった。彼等はそれ、都市を建てた。43年間かかって建てた。その間口はレンガ203個並び、レンガの高さはひとつの3分の1あり、その高さは5433キュビトと手の平2つと13スタディアに達した。

 

 

 ✤われわれの神、主はわれわれに言われた。「見よ、ひとつの民。彼等が一旦ことを起こしたからには彼等に不可能ということは一つとてない。さて、降りて行って彼等の言語をかき乱し、互いに話が通じないようにしてやるか。また各地の都市や民族の間に散らばらせて、裁きの日まで意図の一致みることのないようにしてやろう。」そこで主は降りられたが、われわれも、人の子らが建てた都市と塔を見るために一緒に降りていった。彼が彼等の言語を何もかもかき乱されたので、彼等は互いに話が通じなくなり、都市と塔の建設を中止した。このゆえに神がここで人の子らの言語をかき乱されたことから、シナルの全土はバベルと名づけられた。

……その塔はシナルの地、アッシリアとバビロンの中間にあった。人々はその名を崩壊と呼んだ。第4年週の第1年のはじめに彼等はシナルの地から分散していった。

 

 ハムとその子らは、彼がくじで引き当てた自分の所領となった南の方の土地へ出かけた。カナンはレバノンの地をエジプトの川まで見たが、それは甚だ見事であった。彼は西の方、海の方の自分の受け嗣いだ土地には行かず、レバノンの地、その東西ヨルダン地、海の側に落ち着いた

 

 彼の父ハムと兄弟クシとミツライムは彼に言った。「君のものでもなく、くじで我々に当たったのでもない土地に君は住み着いたようだが、そういうことはしないでもらいたい。そういうことを君がしたら、君も君の子らも反乱にあって地に倒れ、呪われた者となるであろう。反乱で住み着いたのだから、君の子らは反乱で倒れ、君は永久に根絶やしにされるであろう。セムの住まいに住むのではない。これはくじでセムとその子らに当たったのだ。

 

 君は呪われている。聖なる審判者と我々の父ノアの面前で誓いをもって我々自身を縛ったあの呪いによって、ノアのどの子達よりも君は呪われた者となるであろう。しかし、かれは彼等に耳を貸さず、その子らと共にハマテからエジプトへの入口に及ぶレバノンの地に住み着いて今日に至っている。この故に、★★その土地はカナンと名づけられた

 

 一方、ャぺテとその子らは海の方へ行き、彼等の所領の地に住み着いた。マダイは海の土地を見たが気に入らず、エラムとアシュルと妻の兄弟アルパクサデに頼み込んで、妻の兄弟の近くメディアに済ませてもらい、今日に至っている。彼は自分の居住地および自分の子らの居住地を彼等の父の名マダイにちなんでメディアと名づけた。

 

 

 

 

◆補足文(★★この土地の名前について、聖書の「出エジプト記」において、モーセイスラエル人達を主によって「約束の地」に導かれる土地こそ、このカナンの土地であるわけです。つまり、もともとセムの子孫に与えた肥沃な土地を、主は違反者であるハムの家系の、特に悪いカナンの子孫には絶対与えたくないわけです。ですから、ちゃんとセムの家系であるモーセにここで与えたというわけです。)